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小話
結婚しようよ
※赤毛二人生還ED設定



顔を赤くそめて、蒼い目はとろんとして眠たげにみえる。
だが、終始にこにこ笑っていてご機嫌な様子だ。
ガイがこんな風に酔っ払う姿は初めて見る。
屋敷時代、夜中に呼びつけた時にたまにアルコールの匂いをさせてくる事はあった。
だけどこんな醜態をさらした事はない。一緒に旅をしている時もそうだ。
ジェイドと一緒に酒場にいっても(すこし、いや、かなり悔しかったが)二人とも普段とかわらない様子で戻ってきていた。
その時に「旦那はうわばみだな」とか「いえいえ、あなたもなかなかのものですよ」といった会話が二人の間でかわされていたので、ガイは酒には強いと思っていた。
だから今、砂浜に転がる空き瓶みっつくらいで、ここまで酔うなんて思ってもみなかった。
参ったな、どうしよう。


バチカルの廃工場を出た先にあった海岸で二人だけの酒宴を開いている。
真っ黒な海を照らす月の青白い光に照らされながら、仲良く並んで砂浜に腰をおろしている。
成人したての俺はちびりちびりという風に。ガイは嬉しそうにぐいぐい勢い良く飲んでいた。
あっという間に顔を赤らめると、陽気に笑い、肩を掴んで引き寄せては「よかった、よかった」と何度も繰り返している。
ガイの心からの言葉がじんわりと胸に染みこんでくる。
皆が俺たち二人の帰還を喜んでくれた。泣いてもくれた。その時ガイは、いつも通りのあの笑顔で迎えてくれた。
厳かな式にでたり、盛大な宴の主賓になったり、いろいろと慌ただしく日にちは流れていった。
一週間程経った時
「そろそろマルクトに戻らなきゃいけないんだ」
そうガイから告げられた時に、そっか、と納得した。しなければいけなかった。
「なあ、俺が成人になったら一緒に酒を飲むって約束忘れてないか?」といたずらっぽく問いかけると、ガイは目を瞬かせ、それから優しく細めて
「そうだったなあ。じゃ、今夜こっそり屋敷抜けだして繰り出すか」と嬉しい事を言ってくれた。


夜の海は真っ暗で夜空との境界線が曖昧になっている。
潮の香りを含んだ風が火照った頬をやさしく撫でていく。
「珍しいよな、ガイがそんな風に酔っ払うなんて」
素直に気持ちを零すと、ガイは甘ったるい笑みをこちらに向ける。
「そうか?俺はいつもルークに酔いしれてるよ」
……うわあ、どん引いた。
喜ぶよりも先に、「お前、まじで大丈夫か?」と心配の方が先にたってしまう。
ガイは酔うと、あの甘ったるいセリフが女性限定ではなくなるようだ。こいつを酔わせないように注意しとかないといけない。
するとガイはいきなり立ち上がり、座っている俺に手を差し出す。
屈託なく子どものように笑いながら。


「なあ、結婚しよう」


「は?え……、はあ?」
一瞬、聞き間違えたのかと目を丸くして驚く俺に、ガイは無邪気な笑顔のまま歌うように言葉を続ける。
「だから結婚しよう。
お前と俺。結婚しよう。俺はルークといれば幸せなんだ。
お前が俺に覚めて嫌いになってもいい。
ほんの少しでも俺はルークのもので、ルークは俺のものって事実があれば俺はずっと幸せなんだ。
ずっとこの幸せに酔っていたいんだ」
たたみかけるようなガイの言葉に、俺は目を大きくあけるしかなくて。
「な、俺と結婚しよう。お前が好きなんだ。この先もずっと好きなんだ。
だから結婚しよう。ずっとそばにいていい証を俺にくれないか。
今からバチカルに戻って教会の詠師をたたき起こして、結婚しよう」
呆けたように言葉を忘れ凝視するしかない俺の腕を、ガイがつかむ。
「結婚しよう。この先ずっとそばにいさせてくれよ。
これが夢でない証を俺にくれよ。もう離れなくていい間柄になりたいんだ。ずっとそばにいたいんだ。
毎日いっしょに美味しいものをたべて、いろんなものをみて笑い合おう。
ずっとずっと、そばに、いっしょ……」
がくりと力が抜けるように、ガイは膝をついた。腕を掴んでいる手は、その声同様に震えている。
「もう、離れたくない」
ぎゅっと強く抱きしめられる。様々な思いを凝縮したその言葉に、目が熱くなる。
ガイの背に腕を回し抱きしめ返す。


涙ばかりばかみたいにながれていく。
わななく唇から出る言葉はやはり震えて、つっかかって、それでも


二年も待たせてごめん
心配させてごめん
待っててくれてありがとう
俺も一緒にいたい
ずっとずっと
大好きなガイと一緒に




「結婚しよう」



ガイからの逆プロポーズ話

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