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小話
昼ドラなルクガイ
※現パロで、かつ昏いんだかアホくさいんだか曖昧な小話になってます


<ルーク>
「愛してる」
何度この言葉を紡いだだろう。この言葉を贈る相手はたった一人。ずっと変わらずにある想い。
耳慣れたはずのその言葉に、蒼い瞳を優しく細め、幸せそうに笑って「俺もだよ」と返してくれた日はあまりに遠い。
今は苦しげに眉を寄せて「駄目だ、ルーク。わかっているだろう」と目線を床に落とす。
交わされない視線。交わされない言葉。交わされない想い。
「んな言葉聞きたくない」
腕を掴んで軽く揺さぶる。それでも視線をこちらに向けないガイに焦れるように、触れる。唇に。
すぐさま離れると、益々苦しそうに顔を歪め「駄目だろう。こんな事は」と声を震わせている。

聞きたくない。どうして駄目なのかを認めたくない。
手を繋いでそこからじわりと体温を共有して、視線が合うだけで二人で笑って、引かれるように唇を重ねて。
そんな日々がいつまでもいつまでも続くと思っていたのに。
遮光カーテンをひいたこの寝室、いやこの部屋は日中だというのに薄暗い。
ガイは俺達の過去も未来も終わらせたいの?たかが親父とお前が結婚しただけじゃないか。
終わらせることはないだろう。だって、こんなにも愛している。
お前だってそうなんだろう。

力なく顔を左右に振って「駄目なんだ」と繰り返す口を衝動的に塞ぐ。
拒否する言葉など、吐息に絡めとってしまおう。
お前が駄目っていうたびに、俺はお前の口を塞いで、言葉を吸いとるよ。
俺を拒否する言葉全て。
だから昔のように言ってくれ。「俺も愛してる」って。


<ガイ>

「愛してる」
何度この言葉が耳を震わせただろう。ありふれた言葉なのにお前が言うだけで、喜びに心が震えていた。
翠の瞳をキラキラと輝かせながら「なあ、ガイは?」とわかりきった答えを求めるお前。もう戻る事すら出来ないそこには、幸せだけがあった。
今は、苦しい。ぎゅっと心臓を掴まれたような錯覚に陥る。
「駄目だ、ルーク、わかっているだろう」自分に言い聞かせる。そう、駄目なんだ。
床に視線を落としたままの俺にじれたように
「んな言葉聞きたくない」
腕を掴んでルークが軽く揺さぶる。わかってる。でももう俺達は戻れないんだ。
唇にあたたかいものが掠めて、すぐさま離れる。触れないでくれ、もう。そうしないと、心がおれてしまう。

カーテンをひいたこの部屋は日中なのに薄暗い。
何度もこの部屋で意に反した性交をする度に、じわりと闇が深くなっていく。
ひたひたと音もなく、それは近づいてくる。じっと息をひそめて、闇から伸びる触手に身を委ねそうになる自分を叱咤する。
ああ、なのに。
「駄目なんだ」と言えば、お前がそれを遮るように深く口づけしてくる事に気づいていながら、言葉を繰り返す。
俺の好きな翠の瞳を悲しみに染めながら、必死に繋ぎとめようとするように、息の全てさえ自分のものとするように、激しく深い口づけを繰り返す。
じわりと。闇が、迫る。闇の触手は誘う。背徳に呑み込まれる。
堕ちてしまう。何かもかもが綺麗なもので構築されていた過去では、僅かなふれあいだけで満たされていたのに。
今では足りない。何もかもが足りない。
深く身体に刻んで欲しい。お前を。心と共に身体もひとつになりたい。
カーテンの隙間から差す光は橙に染まっており、もうすぐ夜がくる。全てを食らい、そして優しく包み隠す夜が来る。
闇に隠れて俺達は、罪の果実を食らう。
そして、その時が早くくればよいと願いながら、形ばかりの拒絶を繰り返して、口づけを受ける。



設定は清いお付き合いしてた二人なんだけど、ガイに目をつけたハムがガイを手篭め(古っ)にして
強引に嫁にしたという……
んで、父親&夫の目を盗んで不倫フラグを立てている二人という、大真面目なアホ設定でした。

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