小話 ガイ 誕生日 ルクガイ ※かてきょパロのルクガイ 「は?今日誕生日?」 こぼれ落ちそうなほど見開いて驚くルークに、ガイはにこりと笑って見せる。 「ああ、今日で21だ」 メイドが運んできた紅茶に優雅に口を寄せるガイに、ルークは地団駄を踏まんばかりに苛立った声で 「なんで、それ早くいわねえんだよ!!」と怒鳴る。 ルークの剣幕に、ガイは目を瞬かせる。 「男の誕生日なんてわざわざ聞きたくないだろ」 「そりゃ俺もアッシュの誕生日なんて知りたかないけどさ!」 いや、お前と同じ日だろ、と胸の内でガイはツッコミをいれる。 「でも、俺とガイは……、ほ、ほら、こ、恋人同士なんだから」 聞かなかった自分の迂闊さを呪いながら、それでもこういう事を伝えてくれないガイの素っ気無さもルークは悲しくなる。 俺一人だけで舞い上がってんじゃねえの。 「事前に言ってくれたら、婚約指輪だって、一緒に住む新居の鍵だって用意できたのに」 「おいおい。色々すっ飛ばしすぎだろ」 ルークはかなり本気であるが、いつもの冗談だと思っているガイは笑い飛ばす。 はあっと深い溜息をついて、テーブルに突っ伏す。 「こら、行儀悪いぞ」 上から咎めるガイの声が降りてくるが、ふてくされたルークは顔をあげる気にもなれない。 盛り上がってんの俺だけなのかな、付き合い始めの誕生日なんてビッグイベントだろ。なのにガイは平常運転だしよ。 「今日はお前の家にくる日だったから、改めていう必要もないと思ったんだよ」 「家庭教師のバイトと、デートは全然意味違うだろ!」 零した言葉のせいで、唇の周りのテーブルが一瞬白く曇り、すぐに元に戻る。 「ん、そうだな。悪かったよ」 ガイの言葉にも、損なった機嫌は戻りそうになかった。 「そのお詫びといっちゃなんだが、お前の誕生日は、朝から夜まで一緒にいような」 ああ、またこれだ。ルークは小さく溜息をつく。 甘えさせるくせに、甘えてこない。世話やきたがるのに、構われそうになるとさらりとかわす。 末っ子のくせに、生まれる前から兄貴気質を備えていたとしか思えないぞ。 すると、ふいに頬に掠めるようなくちづけを落とされる。 ん?と今の出来事を頭の中で反芻し、それからガバッとルークは起き上がる。 「い、い、今の!!」 仰ぎ見ると、そこには恥しそうに視線をそむけて口を手で覆い隠しているガイがいる。 その様子をみれば幻ではなかったことがわかる。 「もう一回!」 「な、なんだ、それ。お前の誕生日じゃないんだぞ」 「いいじゃん、ほっぺで我慢してやるからさ」 「なんだ、我慢って」 「本当は唇とか、もっといえばディープなキッスしたいのを我慢してんだからさ」 ルークのあけすけな言葉に、ガイはかあっと一瞬で顔を真赤に染め上げる。 「お前は一生我慢してろ!」 「んだよー、ガイー。折角の誕生日なんだからもっと触れ合おうぜ」 「もうした!」 「反対の頬が悲しんでるだろ!ほら、ほら!」 顔をつきだして、このまま梃でも動かないつもりのルークに根負けして、ゆっくりとガイは顔を寄せる。 ガイが近づいてくる気配に、ルークは幸せそうに瞼を閉じる。 終 ガイルクかよ!ってツッコミいれられそうですが、ルクガイです。 いつでも気持ちはルクガイです。 小話TOPに戻る TOPに戻る |