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小話
わらう
幼少アッシュ→幼少ガイの話
日記より転載


周囲が自分に傅く真の意味を知ったのはいつだったろう。
彼らは俺に傅いているのではない。
俺の纏っている豪奢な「公爵子息」という衣服相手に頭を垂れているだけなのだ。
その中身がどんなに醜かろうが、どのような痴れ者であろうが、彼らにとってそれはなんら意味をなさない。
その中身を覆うものに価値を見出しているからだ。
その事に気づいてからは、其れまで以上に勉学に勤しんだ。
父と母の血筋によって編み込まれた豪奢な衣服を纏うにふさわしくなるべく、ただひたすらに。
なんと聡明で、なんとも愚かな子供だったのだろう。


媚を含んだ視線や笑顔にうんざりする程慣れてしまった時、家に使用人として召抱えられた
彼と出逢うことになる。
物心付く前から、使用人がそばにいるのが当たり前という生活をしていた俺だったので
新たに召抱えられる彼の事を話すラムダスの言葉に耳を傾けながらも、なんら感慨を持たなかった。
ラムダスから上着を受け取り、ボタンを素早く止めている間には、彼のことなど頭から綺麗に忘れ去っていた。

食事を終えて部屋に戻る長い回廊を歩いていると、窓から差す陽光を受けて煌めく金色の少年が佇んでいた。
視線があうと、穏やかな笑顔でゆっくりと一礼をする。
「ガイ・セシルと申します。これからはラムダス様にかわり、身の回りの簡単なお世話をさせて頂きます」
しっかりとした口調で挨拶をする彼に向かって
「お前、それはそめているのか」と傍若無人に問いかけた。
きょとんとした顔を見せたが、聡明な彼はすぐさま言葉の意図を汲み取った。
「いえ、地毛です」
「金の髪はれっせいいでんしだ。下々の者には少ないと聞いたが」
家庭教師の教えた知識を振りかざす鼻持ちならない子供にも、穏やかな笑顔を絶やすことなく応える。
「少ないかもしれませんが、全くいないわけではありません。
私の場合はたまたま父も母も金の髪をしておりましたので」
「そうか」
無造作に彼の髪に触れると、その柔らかさに驚いて慌てて手を引っ込めた。


彼は単なる使用人ではなかった。少なくとも俺の中では。
主から特別扱いされれば、普通の人間ならば、主の目の届かない所で傲慢な振る舞いに及ぶものだが彼は何があろうともその本質は変化する事はなかった。
多少は気安い関係になろうとも、使用人としての配慮は常にあり、こちらが焦れったくなるほどに控えめな態度で臨まれる。
彼に尋ねてみた事がある。
「ガイ、おれが父上の子供でなかったら、お前はどうする?」
彼は豪奢な衣服に傅く男ではないはずだ、という希望を抱きながらの問だった。
逡巡する事もなく、彼はわらった。
「気軽に遊べるような関係になりますね」と返事をしながら。
その言葉が嬉しくて顔を輝かせた俺を彼はどのような気持ちで見ていたのだろう。

あの時は気付かなかった。
ガイの言葉が嬉しくて。
彼は、あの時、「嗤った」のだ。





赤毛達は金髪フェチという私の主張をこの前受け入れてもらえたので(笑
アッシュが不憫なのは仕様です(ぉ
アッシュが絡むとガイが黒くなるのも仕様です
一回くらいちゃんとしたアッシュガイを書いてみたいもんです
普段はどっちかっていうとキャンキャン周囲に喚いているアッシュが
ガイと二人きりだと途端に大人しくなり、一人落ち着かなくって、チラッチラッとガイの方をみて、様子を伺って。
ガイはアッシュの動向も視線もわかっているけれども、ガン無視して、窓の外の景色みてて。
時間だけがただ過ぎて行く……
あ、あれ、これだとアッシュガイにならないよ。
ガイの女王様気質全開になっちゃうよ。

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