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リクエスト小説
リクエスト2
ルークに公爵とHしている所をみられちゃうガイ (ガイ受け大好きの名無し様)



それは好奇心からくる些細な悪戯だった。
ルークにとって父親という存在はとても遠い。親子といえど母とは違い、気軽に会話を交わすこともない。
たまに共にとる食事の時間は、大層息が詰まる思いだ。
ルークにとって檻のような屋敷の中で気を許せる数少ない人物、ガイはどのような様子で、堅苦しさを絵で描いたような自分の父親と仕事をしているのか。
そんな子供らしい考えで、ルークは父親の執務室にもぐりこむことにした。
だが、扉を開けるとガイの姿はなかった。
おかしいな、あいつ午後からはここで仕事してるんだろ、とルークが首を傾げる。
滅多な事では足を踏み入れる事を許されない部屋をグルリと見渡す。
入り口すぐの、天井まで届いている本棚の前に設えてある小ぶりの机がガイのものなのだろう。
机の上は綺麗に整頓はされているが、それでも積まれた書簡をみると仕事はまだ終わっていない事が窺える。
この部屋の主は玄関先で白光騎士団長になにやら命令を下しているのを確認してルークはこの部屋に来たのだが。
扉をあけて驚くガイの顔を見て、それから何処かに隠れてガイが自分の様子を気にしながら仕事をする様子とか、自分の父親とどんな会話を交わしているのか、それを影でみてくすくす笑って。
翌日になったらガイをそのネタで大いにからかってやるつもりだった。
当てが外れたな、これからどうしたものかと腰に手を当てて考えていると、カシャン、カシャンと甲冑の音がする。
団長を伴って公爵が部屋に向かっている証だ。慌ててルークは身を隠す予定だった、飾られてある甲冑の背後に回る。
扉をあけて、公爵が背後に控える騎士団長に「下がってよい」と命令を下している声がルークに届く。
そのままルークに気づくことなく執務机に座り、ペンを走らせている。
参ったな、とルークが頭を抱えていると、扉が開く音がして、いつもより硬い声音で「旦那さま、準備が整いました」とガイが声をかけている。
「うむ、わかった」と椅子から立ち上がる気配がする。
準備?つーか、あいつ何処にいたんだよ、とルークは甲冑の横から少しばかり顔を覗かせる。
執務室奥に続く扉が開かれている。チラリと見えた金色の髪はいつもと様子が違って見えた。
パタンと扉が閉まる音がして、ようやくルークはほうっと息を吐く。
このとき、いつもと様子の違うガイに気づけばまだ良かったのかもしれない。
だが、ルークはこの豪奢な檻のような屋敷では、人の顔色など伺う必要はない。だからこそ無邪気に「あいつ、父上に怒られてんじゃないのか」と考えていた。

甲冑の背後に隠れながら二人があの部屋から出てくるのを待つ。
だが、いくらまっても扉は閉ざされたままだ。
ルークにとって父親は遠い存在ではあるが、性質を理解していないわけではない。
長々と説教などする人物ではない事を承知していた。何かしらの失態を冒せば、屋敷の中ならば即刻クビを言い渡し、軍では僻地に飛ばすだけの事だ。
説教などに無駄に時間は割かない。
ようやくこの時になってルークは扉の先に消えた友が心配で落ち着かなくなる。
そっと甲冑の裏から抜け出し、二人が消えた扉に耳を寄せる。
苦しげなガイの声が聞こえ、まさか殴られているんじゃないよな、と恐る恐る扉を細くあける。
続き部屋は寝室となっている事をルークは初めて知る。
微かにベッドが軋む音、ルークが耳にした事のない淫猥な水音、別人のように高く甘く、苦しそうなのにその先をねだる声。
それは全て天蓋のついたベッドから発せられる音。
だが、まだそれの意図する事にルークは気付かなかった。
一度記憶が真っ白になった、と周囲も、彼自身も信じていたように、身体と心の年齢はかなりアンバランスだ。
興味を覚える年頃であっても、それよりも同性の友人と気兼ねなく剣をふったり遊んでいる事を重視していた。
ゆっくりとベッドの上に視線を移す。
父の上に跨って、金色の髪を左右に揺らしながら甘い吐息を吐き出す友の姿を翡翠の双眸は捉える。
「あっ…んっ……っあ」
切れ切れに、何かを堪えるような艷めいた声はあまりに彼らしくなく。しなやかな身体は艶めかしく腰を揺らしている。
それでもまだ何が行われているのか、正確にルークはわかっていなかった。
父親の手が彼の白い尻を揉みしだくように掴み、それから上下に小刻みに身体を揺する。
すると白い身体の中を短い律動で黒い性器が出入りするのが見て取れた。
「ああっ…だ、んな…さまぁ」
背を仰け反らせて、求めていたものを得たような甘い声で歓喜に震える様にルークに衝撃が走る。
後にこの時に声が出なかった事を奇跡だとルークは思った。
心臓が痛いほどに早鐘を打つ。じっとりと汗ばんだ手を握り締める。
絶え間なく艶やかに喘ぐ声は、彼にあまりに似つかわしくなく、なのにもっとその声を聞きたくて仕方がない。
「はあっ……ああっ…」
上体を起こした父に縋るように、首筋に腕を絡め腰を揺らめかす。
脚を父の胴に絡めて、当然のように顔が重なる。角度を何度も変えて貪るような口付けは淫猥な水音を立てている。
濃厚な口付けはまるで恋人同士のようで。
ガイが父上と?
初めて見る他人のセックスよりも、誰よりも近い存在だと思っていた彼の意外な一面、いや、誰かと情を通じ合っている事に衝撃を受けたのだと自覚する。
それが自分の父親だという事実にも。
震える手がようやく扉の取っ手にかかり、ゆっくりと扉を閉める。

痛いほどに打つ心臓を押さえつけ、自室に走ってベッドに潜り込む。
こちらに背を向けていたためガイの痴態の全てを見たわけではない。
だけど、声を聞いた。甘くてイヤラシくて、切なげで。
その声も息さえも全て絡めとってしまいたいくらいに。
蒼い瞳に俺だけを映して。
痛くなった前に手をあてる。
誰かを想ってこの行為に及んだことはない。
だが「ガイ」と名前を呼べば、快楽が数倍に膨れ上がる。
白い閃光が瞼の裏に走る前まで、ずっと彼の名を呼び、彼の痴態を思い描いていた。

「ルーク様、お食事のお時間です」
扉の向こうからメイドが声をかける。その声でルークは目覚める。
出した後の気だるさのまま眠りについてしまったらしい。
「いらねえ」
「…でも」
「いらねえったらいらねえ」
苛立を篭めた声で返すと、扉の先でメイドが息を呑む気配がする。
「わかりました。申し訳ございません」
立ち去るのを確認して、またベッドの中に潜り込む。
今日見た光景が生々しく甦る。白い身体がうっすら色付く様子や、いやらしく脚を絡める動作も、口付けの合間に漏れる息も。
だけど、全て、俺のものじゃないんだ。
苛立った思いは、誰に向けてよいのかがルークには分からない。そもそもそんなにもガイを欲しがる意味すら理解出来ていない。
その時
「どうした。気分でも悪いのか」
と窓から声がかかる。ルークが振り向くと、開け放たれた窓に立つガイの姿。
誰のせいだと、と言えるはずも無いルークは、無言で彼に背を向けて頭まですっぽりと掛布をかぶる。
ガイは窓枠に手をかけて、地を蹴り、軽やかに部屋の中に降り立つ。
「後から『腹減った、ガイなんとかしろ』って言っても何もできないぞ」といつもとかわらぬ彼だ。
先程まで男と情交していたとは到底思えない態度に、自分の父との関係の深さが窺い知れる。
行為は彼には特別な意味合いを持たない。自然となる程に重ねられたのだ。その事実にルークは打ちのめされる。
まだ彼が悲痛な顔をしていれば救われたというのに、と我侭な感情が湧いてくる。
「一緒に寝てくれ」
ポツリと言葉を漏らすと、ガイは苦笑いをする。
「お前と一緒に寝ていたら、ラムダスさんに怒られるのは俺だぞ。んー、じゃ、お前が寝つくまで一緒にいてやるから、な」
そういって少しばかり出ているルークの赤い髪を撫でる。
俺が寝るって言ってもそういう意味合いにしか取らないのな、と掛布の中でため息を吐く。
ベッドが軋み、背後にガイの気配を感じて、ルークは目を閉じる。
添い寝してほしいわけじゃないんだ。俺は、お前を。
その時に鼻腔をくすぐるのは、よく知っている男の残り香。
ガイは父上のものなのだと、改めて思い知らされて、ルークは知らず拳を握る。
どうすれば、ガイは俺のものになるんだろう。
優しく撫でてくれるその手はあまりに残酷だとルークは思った。




リクエストを有難うございました。
公爵×ガイ←ルークになってしまってすみません。
でも書いていて凄く楽しかったです、有難うございました。

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