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10万企画小説
吸血鬼ルーク×人間ガイ(後編)
こいつは誰だ。
ルークは誰だ。
何故、こいつを、幼馴染だと俺は思ったんだ。
部屋に気軽にあげる関係だと、何故思い込んだ。
こいつの好みを何故俺が知っている。
俺の体質の事を何故こいつは知っている。
何かが堰を切ったように溢れ出し、ガイの今までの常識や、日常を呑み込んでいく。


軽やかな動作でベッドをおりると、ルークはガイに向かって手を差し伸べる。
「ほら、んな所に突っ立てないでこっちこいよ」
凍りついたようにその場に立ち竦んでいた足が、その言葉によって一歩前に踏み出す。
ガイの意思と関係なく、一歩、また一歩。
広くないアパートはそれだけでルークとの距離を縮めた。
宙に差し出されていた手は、そのままガイの額へをあてがわれる。
ひやり、と冷たい掌。
「実体を霧にする事もできれば、羽を持つ哺乳類にだってなれる。こうやって中枢神経をジャックして好きに操れる。
俺くらい血統も良くて、そして長く生きていれば、記憶だって改竄出来る」
どうだ、疑問の回答にはなったか?と楽しげに笑う。
ルーク、いや、目の前の少年の言葉はあまりに突飛で、にわかには理解し難い。
だが、本能が、竦み震えのとまらない身体が、目の前の少年を人間ではない、と示している。
少年は手を下ろすと、そのまま顔をガイの首に寄せる。
くん、と匂いを嗅ぐと、うっとりしたように
「やっぱり極上の香りだ。うまそう」
囁くと、ぞろりと舌で首筋を舐め上げる。
先日とは違い、それは冷たい舌だった。
つ、と濡れた首筋を指で這わせながら、楽しそうに少年は言う。
「大丈夫。お前、童貞だから俺が血を吸ってもグールにはならない」
ガイはその手の伝奇ものは一切興味がなく、吸血鬼に関しては太陽光とニンニクと十字架が苦手くらいしか知識がない。
グールにならないと聞かされても、はいそうですか、と安堵も納得もするわけもなく、顔を顰めてみせる。
「……っざける、な」
少年をきつく睨み、回らない舌を気力で動かし精一杯の悪態をつく。
「諦めろよ。この俺が、ガイを気に入ったんだから」
ガイの反抗など気にした様子もなく、少年の手は首から下へと動いていく。
ニットソーの裾から冷えた手を差し入れると、びくっと小さく反応したガイの肌が粟立つ。
素肌を冷たい掌が手馴れた様子で這う。その動きからもたらされるのは嫌悪だけではない事に、ガイはひそかに驚愕する。


やんわりと肌の表面を撫で上げていた指腹が、胸の突起を執拗に擦りだす。
「…めっ…ろ…」
目の前の少年の遠慮のない、そして明確な意思を持った行為に、ガイは眉を寄せる。
「なんで?気持ちイイだろ」
何故か少年の冷たい手が触れるだけで、身体が熱くなり息が上がる。
ジクジクと腰が甘く疼き、腹の奥に熱がたまってくる。
流されまいと歯を食いしばるガイの意思とは裏腹に、身体は従順に反応を見せていく。
刺激に少し突起した胸先を爪弾かれると、「…ンッ」と食いしばった隙間から声が漏れる。
「我慢する必要なんかねーだろ。素直になれよ」
潤んだ青い瞳で睨むガイに、しょうがねえなあ、と少年は白い歯を見せて笑う。
刷り込まれた記憶で何度もみた笑顔。
だが、大きく違うのは、鋭利な牙が左右から生えている。
ニットソーをぐいっと引き上げられると、外気に触れてきゅっと尖らせた先を冷たい舌が這う。
「ひっ、…ぅっ…」
キャンディーをねぶるように動かすその舌に、熱が一気にせりあがってくる。
唇を離すと、舐められた濡れた胸は赤く色づき、膨らんで、そしてツンと尖っている。
自分の見慣れた身体がとても淫猥にうつり、ガイは羞恥に歯を噛み締める。
「いい、匂いだ」
うっとりとした声で、ルークは顔をガイの首に埋める。
刹那。鋭い痛みがガイを襲った。


どくどくどく。
何かが流れでていく。心臓が痛いくらいに早鐘を打つ。
何かを吸い上げられる音が近いのに、遠くから聞こえる。
一瞬感じた痛みより全身をめぐる熱さが勝り、それに溺れそうになる。
「前菜だからこれくらいで我慢しとく」
少年は口を離すと、牙が埋め込まれた跡を名残り惜しげに舌で舐める。
もうその舌は夜の住人の冷たさはなく、人の体温と変わらない。
離された途端、ガイは力をなくし床に倒れこむ。ビクビクと痙攣する身体を少年は愉しげに見下ろす。
「感じすぎた?」
その言葉に、何を馬鹿な、と文句の一つでもいってやりたいが、それすらも気だるい。
はあはあ、と荒くなった息を整えようとするが、体に溜まった熱のせいでうまくはいかない。
「床は冷えるし、背中痛くなるからベッドの方がよくない?」
腕を掴まれてぐいっと引き上げられる。
少年はガイより頭ひとつ小さく、体つきも少年らしい細さを持ちあわせており、とても男一人を楽に引っ張れるようにはみえない。
だが、彼は闇の住人である。いともたやすく掴み上げて、そのままベッドの上にガイを転がす。
粗末なパイプベッドが体重を受けて軋む音を大きく立てる。
その音に熱くなっていた意識がわずかに冷え、そして己の異変に気づく。
まさか、と呆然とするガイの視線を受けて、少年は彼のジーンズに手をかける。
「気持ち悪いだろ」
そうつげて一気におろすと、濡れて色を変えた下着が目に入る。
「血吸われてイッたんだ」
くくっと可笑しそうに笑うルークに、羞恥に目尻を朱に染めながら眦を決する。
下着も下ろされ、放った精液で濡れそぼった性器を直に触れられる。
「や、め……」
他人に触れられる羞恥に、思うように動けない身体をありったけの気力で抵抗する。
ガイのはかない抵抗を鼻で笑うように、握りしめたそれを滑りにまかせ激しく扱き出す。
初めてのその刺激にガイはビクリと身体を跳ねさせる。
「はっ、…やぁっ、め……、あ、アッ!」
未知の快楽に、性器は再び熱く芯を持ち始める。手淫では得られなかったその刺激に、脳髄がじわりと快楽に染められていく。
先程放った精液と、また零れ始めた先走りで、ルークの手の動きに合わせてヌチュヌチュと淫らな音をたて鼓膜すら犯されていくような錯覚に陥る。
急き立てられるその手に、一気に絶頂へとのぼらされる。
「っふ、…ヤッ……ぅ出………ぅうっ」
せり上がった快楽が迸ろうとする時、ぎゅうっとキツク根元を握り締められる。
「ッツ、ああぁぁぁッ、痛…」
頭を振って悲痛な声をあげるガイをみて、少年は薄く笑うと両足を大きく割り開かせその間に腰をいれる。
「手の中でビクビク震えてるぜ」
精液が逆流してくる形容しがたい気持ち悪さにガイは顔を歪める。
「キツク縛ってやるな。三箇所くらいしめときゃ大丈夫だろう」
陽気な声で、恐ろしいことを口にする少年をガイは唇を噛み締めて睨む。


膝裏を押して腰がすこし浮く体勢になる。晒された尻たぶを掴んで押し広げる。
羞恥の炎で身を焦がしそうなガイに構うことなく用意していた香油に指を突っ込む。
とろりと糸を引くそれを指に絡ませると、容赦なく中の指を差し入れた。
「…っ、何…をッ……するつもり、だ」
痛みに顔を歪ませるガイの様子を愉しみながら、少年は差し込んだ指をそのまま内部で蠢かせる。
トロリと香油を垂らし、窄まりを濡らすと、ゆっくりと抜き差しをはじめる。
ゆっくりと抜かれそうになる感覚が背筋を震わせる。痛みや異物感だけではない、別の感覚がそこからじわりとあがってくる。
根気強く解すという作業が退屈になったのか、少年は片方の手でガイのニットソーを上に押し上げる。
上体を屈めて、舌先で乳首を嬲り始める。
わざといやらしげな音を立てて舐め上げ、小さくなった乳輪を舌でなぞる。
ガイは固く目を瞑り、再び身体を襲う快楽に耐える。
尖った乳首をくわえ込んで、激しく吸う。
「…アッ!!」
身体がびくっと大きく跳ねる。
ちゅうちゅうと音を立てるようにキツク吸われ、痛みと、そして喩えようもない刺激が身体を一気に熱くさせる。
その時、指がもう一つ増やされる。今度は内壁を押し擦るような動きで内部を捏ね回す。
胸をねぶられ、指を差し入れられる感覚に、目をつむり耐えていたガイが、喉をのけぞらせ驚愕に大きく目を見開く。
「ひっ、……あぁっ……アアッ!」
口からこぼれでた声は、明らかに今までとは違う色に濡れている。
ガイの反応をみて、グイグイとその箇所を押し擦る。
「や…アアッ、やめっ、お、かしく…アアッ」
頭をふり、必死で身を捩らせようとするが、自由のきかぬ身体は結局少年の刺激を享受するしかない。
背を走る快楽の痺れが高みへとのぼろうとするが、陰茎はきつく戒められており、絶頂にいけぬもどかしさに涙が次々に溢れ出す。
なのに少年はガイをなお一層追い立てるように、変色した先端を指腹で刺激する。
悲痛な声が喉から迸る。
「すげえ甘い匂いがする」
のけぞった白い喉を舐めながら、嬉しそうに少年は笑う。


指を抜くと、まだ硬いそこに熱く硬いものをあてがうと、一気に腰を進める。
「――――っ!!」
声にならぬ悲鳴があがる。
狭くかたい場所を無理矢理押し広げていく。
なじむのを待たずに、少年は抜き差しをはじめる。その度に絡みつく襞を、熱くうねる肉の感触を愉しむ。
は、は、と力なく開かれたガイの口から息が溢れる。
肉の愉悦に浸った少年がようやく余裕を取り戻し、先程探り当てた箇所を抉るように突き、そしてゆるりと抜く。
それを繰り返していくうちに、ガイの口から漏れる息が甘く濡れていく。
「ふ…っ、ぅっ……ンッ」
「気持よくなった?」
顔を左右にふるガイに、少年が笑う。
「嘘つきだなあ」
上体を屈めて再び首に食らいつく。
目の前が白く弾ける。
肉の愉悦を知った身体は、益々甘美な血を少年にもたらした。
「はッ、や、ああっーーーッツ」
じゅるりと血を吸い上げると、ガイの身体は一度大きく跳ね、不規則な痙攣を繰り返している。
根元をきつくしめ、そして内部は蠢き絡み付いてくる。
「出さずに達したんだ」
終わらない快楽にガイは陶然とする。
再び、少年は追い立てるような律動をはじめる。
その刺激に脳が焼き切れそうになる。チカチカと視界は点滅している。
「やあっ、や、めっ……たの、むか……らっ……ッ!」
「なんで?気持ちいいだろ」
「ルー…ク。たの、む。も、もうっ……」
ガイの懇願を聴いて、ルークは動きをピタリと止める。
はあ、とガイは安堵の息を深く吐く。
「もう一回」
親指を自らの口内に差し入れながら、ルークは言う。
「え?」
ルークの言葉がわからずに尋ね返すガイに、にこりを笑う。
ルークの親指にぷくりと血が盛っている。それをガイの口内に入れ込む。
鉄の味がじわりと広がったかと思うと、一瞬でそれがとてつもない甘露へと変わる。
恐る恐る舌をルークの指に絡めて舐める。
喩えようもない充足感が駆け巡る。
「名前、もう一度呼べよ」
「ルーく…」
指をしゃぶりながら、名を呼ぶと、嬉しそうにルークは笑う。
「これで、俺はガイの永遠のご主人様だからな」
そう宣言するとガイの口腔に差し入れた指で唇を押し上げる。
そこには、小さな牙が生えていた。




山葵さまからいただきました「吸血鬼ルーク×人間ガイ 鬼畜無理やりエロ」です。
吸血鬼ネタを前面に、でしたのにあまり生かされていなさすぎて申し訳ない気持ちでいっぱいです。
というか、他にも謝らなければいけないポイントがありすぎて……
でも初めての吸血鬼パロが楽しくてムフフっとなっておりました。有難うございました。
そして遅くなってしまって本当にもうしわけございませんでした

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