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10万企画小説
隠れビッチガイ 七年前 公爵ガイ
無邪気ルーク×隠れビッチガイのはじまり話
公爵×14歳ガイ



春の柔らかな日差しが部屋に差し込んでいる。
重厚な扉の向こうから微かに見回る騎士のたてる音が聞こえてくる。
中庭に目を向ければ、そこを彩る花や植木が陽光を浴びてきらめいているだろう。

穏やかな、そう、とても穏やかで静かな昼下がり。

俺は、親族を殺した男に犯されていた。



「…っ、…………ンっ」
ぎゅうと固く口を引き結ぶ。
体内を蠢く肉の感覚が気持ち悪い。
揺さぶられながら、こみ上げてくる嘔吐感を必死で堪える。
執務机に上半身をのせ、足は大きく左右に開かれている。
身にまとうものはシャツだけ。
それも前は全て開かれ、肩はむき出しで、両腕に申し訳程度引っかかっている状態で、もはや裸同然だ。
あいつは、俺の開かれた足首を掴み、腰を打ち付ける男は前だけを寛がせている。
大きなからだの下で、律動に揺さぶられる俺の身体はなんとも華奢で痛々しい。
かわいそうなガイ。
復讐する相手の欲望の捌け口となり、それでも享受するしかない。
そうしないと押しつぶされてしまうから、必死にいつまでもなれぬ行為に耐えている。
早く終われ、と願いながら。ただ、ただ、貪られている。
同性の、まだ15にも満たない子どもの不浄の場所に、欲望を突き立てる男の醜悪さを胸の奥で嗤いながら。
ああそうだ。なんとも醜い。
切り離された意識は部屋の隅でじっと二人を見つめている。
机に子どもを、俺を、押し倒して汚らしい行為に耽る男を冷めた目で見続ける。
暴虐に耐える自分を、哀れんだ目で見続ける。


意識を切り離してしまえば、この暴力をやりすごせる事に気づいたのはいつだったろうか。
男の心の臓に、喉笛に、首に、剣を突き刺す。
その日が来るまでこれに耐えねばならない事は、まだ14のガイにはあまりに重く辛かった。
痛みで朦朧とする視界が、いつの間にか「第三者」のものと切り替わる。
汚らわしい性交を、一方的な暴虐を、ただ、冷静に見下ろしているのは「第三者」ではなく「自分」だと気づく。
お前の身体を貫いている男の間抜けな事、と冷ややかに嗤っている。
みっともなく腰を前後に突き立ててとても間抜けだと小馬鹿にしている。
それで、ガイは救われる。
体内に蠢く肉、こすれ合う粘膜によって快楽を得ている。こんな子ども相手に。しかも男に。かような場所に性器を突っ込んで。
第三者からみればなんとも笑える光景ではないか。
これは悲劇ではない。喜劇なのだ。しかもとびきり馬鹿げた三流の喜劇。
そう、だから悲劇ではない。
かわいそうな子ども、かわいそうなガイ。
だがもっと愚かで間抜けな様子で腰をふっている男がいるならば。



ずるりと性器が引き抜かれる。
かけられるのかと、目をきつく瞑る。
だが熱い迸りは、顔や腹にかけられはせず、ぐいっとうでを捕まれ引き寄せられる。
足が床をうまく踏みしめられず、躓きそうになる。
「だんな、さま?」
行動がよめずに、腕をつかんでいるあいつをみあげる。
酷薄な笑みを浮かべると、陽光差す窓際まで引き摺られる。
「みなさい」
窓の外に広がる景色は。
「あ、だ、だんな様」
そこには、この部屋に呼ばれるまで俺がいた場所。
花壇で彩られた中庭。石畳の上で、おそらく今も木刀がぶつかり会う音が響いているのだろう。
記憶をなくしたルークは、ようやく以前のようにヴァンに慣れた。
剣の稽古を再びつけはじめるようになってからは、ルークはそれに夢中になった。
久しぶりに顔をみせたヴァンに顔を輝かせ、「稽古、ずっとする!」とまだ多くはない言葉を駆使してせがんでいた。
ヴァンは微笑みながら了承し、俺もルークに「よかったですね」と言葉をかけた。
「やあっ」と掛け声をあげて、まるでなっていない格好で木刀を振り回すルークと、それに言葉を挟むことはせずに静観するヴァン。
ひとしきり子どもが満足すれば、近づいて木刀の握り方からみっちり教え込んでいる。
水差しとタオルを用意するため中庭から屋敷に戻ったところで、あいつから呼び出された。


意図がつかめずに、背後の公爵を振り返ろうとする。
だが、それは再び性器をあてがわれ、身体が硬直する。
「だんな、さま」
声が震える。何を。
ルークは木刀すらうまく握れない。だからよくその手からすっぽ抜け、中庭の端まで、そう、この部屋のあたりまで飛ばしてくる。
それを拾うのはいつも自分。だが俺がいなければ、誰が。
先ほどまで嬲られていた場所は昂ぶりを柔らかく受け入れる。
「……っ」
誰が、木刀を拾いにくる?
ルーク。それともヴァン。
切り離した意識が、起こりうるはずもない頭痛を感じる。
ルークは木刀を拾い上げた時、気がつくのだろうか。何もわからないあの子どもは、きょとんと翠の瞳で俺たちをみるのではないだろうか。
ヴァンならば、拾う前から異質さを感じ取るはずだ。
ああ、そうだ。だって俺は、シャツを両腕に纏っただけで、どうみても「何かされている」のは明白だ。
ルークの翠の瞳は大きく見開くのだろうか。
ヴァン、いや、ヴァンデスデルカがいたましそうに蒼の瞳を細めるのだろうか。
「感じ入っているのか」
あいつの愉しげな声が、意識を貫かれている自分へと向けさせる。
そこには。
ああ、そこには。
あさましく腰をよじりながら、快楽の熱い息をこぼし、悦楽に蕩けた表情を晒す俺がいる。
「見られるのでは、と思えば興奮するようだな」
ちがう!
意識が必死で否定するのに、「そこ」にいる自分は否定もせずにいる。


やめろ。壊れる。
無理やりなのだと。
間抜けで馬鹿げた行為に何も感じることはないのだと。
そうして縋ってきたものが音を立てて壊れていく。
切り離した意識が肉体へと戻されていく。
逃げる場所すら奪われる。


「あっ、…アアッ」
どこか絵空事のように見ていた交わりが、引き戻された意識により鮮明となっていく。
身体の中を熱い肉が捏ね回す気持ち悪さ、違和感、圧迫感、苦痛。
そしてそれらを凌駕する快楽。ぞくぞくと刺すような感覚が背を走る。
首をそらしながら、口を閉じることすら忘れ、唾液が端からこぼれ落ちる。
だが、視線は中庭に注がれる。
澄み切った青空から降り注ぐ陽光の下で、木刀をふるう子どもと、それを優しく教える男。
10年前は、俺があの子どもだった。無邪気にふるまう事が許された子どもだった。
だが今は。
暗い部屋で同性に組み敷かれ、性器をぶち込まれて喘いでいる。
しかも相手は、親を殺した男。
そんな男に嬲られ、売女のように身体は悦んでいる。
遠い。
もう、戻れないのだ。
あの場所にはもう。
絶望に身を委ねようとした俺の耳をやつの声が震わせる。


「子どものくせに淫らなものだ」


その言葉がじわりとしみていく。
淫ら。
……ああ、そうだ。
だから、だ。
だからこの男相手に、よがって嬌声をあげるのは。
それは俺が、淫乱だからなんだ。
だから見られるのではという羞恥が、すぐ快楽へとかわってしまうのは。
淫乱だから。
だから、嬲られて悦ぶのは。
仕方ないんだ。
当たり前のことなんだ。


何か、自分の中で大切なものがはじけていく。
「あ――っ!あぁぁっ!んぅ…ッ、アアッ」
熱い肉が俺のなかでぐちゃぐちゃに掻き回す。
背が震える。足の先から頭まで、一気に電流のようなものがはしっていく。
絶え間なく襲い掛かる刺激に、腰を揺らし嬌声をあげる。
吐き出す熱い息がガラスを白く曇らせる。
腰を掴んでいたあいつの片手が、汗ばんだ肌を撫でていく。
そんな些細な事ですら、気持よくてたまらない。
「ああっ!はぁっ、アッ、…ぃっ…」
ひっきりなしに嬌声があがる。
無骨な掌が、散々嬲られた胸の突起をきつく摘み上げた時、不意に、触れられることのなかった性器から白濁が迸る。
「ッ!!でっ、アアッ!!」
がくがくと全身を痙攣させ、心臓がばくばくと激しく脈打つ。
内部がきつく煽動したため、自分の中の男の性器の形がわかるような錯覚に陥る。
がくりと身体が弛緩しそうになる。だが、男は腰を再び強く掴むと、激しく突き立てる。
苛烈な刺激に苦しさを覚えながらも、それを上回る身体の芯までしびれるような甘美な快楽。
「触れずに気をやるとはな」
上ずった声で揶揄されるが、それすらも悦びにかわる。
だって、俺は、淫乱だから、仕方ない。
「きもっ…アアッ、気持ち、よく、て……ンンッ、……あッ、また」
狂ったように激しく追い立てる動きに。再び自分の精液で濡れそぼった性器は萎えないままだ。
「そうか、気持ちよいのか」
「はい、気持ち、イイっ、ンンッ!!」
媚を含む言葉が、自然と口をついて出てくる。
背後から覆い被さる形で男は動きを止める。
最奥まで突き立てた性器が一層膨らむと、次に熱い液が注がれる。
「う、ンンッ」
全て注ぎ込むまでは離さないとばかりに強く抱かれれば、身体は密着する。
耳に、男の熱く興奮した息がかかる。
俺もせわしなく息を吐いているせいでガラスは曇り、もう中庭は見えない。
いや、もう見なくていいのだ。


ずるりと抜かれると、身体がぽっかり穴があいた気持ちになる。
生暖かい液が臀部から太ももへ伝っておちていく。
「物欲しげな顔だな」
陶然とする俺の顎を掴んであげる。
ものほしげ。そうかもしれない。だってまだ、足りない。
「来なさい。奥でまた可愛がってやろう」
そう告げると、続く部屋の扉へと男は向かう。
ゆっくりと窓際から離れ、後に続く。


哀れな少年はもういない。






ガイ15歳の誕生日ちょい前くらい
こっから性への堕落人生がはじまる感じです


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