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愛人 読みきり連作
番外編 ヴァン 新年(後編)
啄ばむようなキスを顔中に落としながら、ガイラルディア様の肌を撫でていく。
掌にしっとりと吸い付くような感触を愉しむ。
もう一度口付けを落とす。今度は薄く開かれた唇に誘われるように、舌を差し入れる。
柔らかな舌を絡めて、軽く吸い上げると、鼻から抜ける声が艶めいてくる。
脇を撫でていた手を、胸先に移動する。
先端を指でゆっくり撫でる。少しずつ弾力をもち、立ち上がりつつある胸先を指の腹で転がす。
びくりと身体を震わせて、身体をもどかしそうに少し捩る。
ガイラルディア様に覆いかぶさっている私の太腿に、熱をもって主張を始めたガイラルディアの昂ぶりが当たっている。
膝を割って脚を開かせる。
そろりと腿の内側を撫でると、ビクリと身体が跳ねる。
足の付け根を擦りわざと触れないでいると、ようやく離れた口から「ゃっ…ヴァン…」と甘い声で強請ってくる。
ガイラルディア様の願い通りに昂ぶりに触れると、「ああっ」と口から歓喜の声が漏れる。


ゆっくりと手を動かすと、切なげに眉を寄せて下唇を噛んで快楽に耐えている。
空いている手で、先程の濃厚な口付けで濡れた唇をなぞる。
「声をお聞かせください」
潤んだ瞳で私を見上げ、頬を染める。
「恥ずかしい」
何度も身体を重ねているのに、いつまでも初々しい反応を示される。
「私はあなたの声を聞きたい」
耳元に顔を寄せてそう囁くと、瞬間、肩を竦め肌が粟立つ。
「反則だ……お前の声」
弱々しく抗議を言うガイラルディア様の口を軽く重ねる。
素直に、快楽に身を委ねれば何も考えずにすむのです。
預言に関しては順調に計画を進めているのに、あなたに対してはどこかで歯車に狂いが生じている。
時を取り戻せないと判っていながらも、一縷の望みを持ってあなたの身体に私を刻みつけたい。
あの男の残り香など、立ち消えてしまうくらいに。


緩急をつけて扱きながら、身体のあちこちに唇を落としていく。
吸い上げて跡を残したいが、それをすればガイラルディア様が虐げられてしまう。
臍を舐めあげ、そのままガイラルディア様の昂ぶりを口に含む。
「やっ…ヴァ…やめっ」
腰が跳ね上がるのを押さえつけ、そのまま強く吸い上げると、口の中で質量を増す。
じわりと口の中に先走りの味が広がる。
それを舐めとろうと先端に下を這わせると「やっ、ああっ…だ、だめだ、っあっ」と嬌声がひっきりなしにあがる。
陸地にあげられた魚のように、跳ねる白い身体は桜色に染まっていく。
ゆっくりと裏筋に舌を這わせると、先端が大きく膨れ上がる。絶頂が近いらしい。
ガイラルディア様の声も、泣き声に近く切羽詰ったものとなる。
「も…う、だ…っあああっ、ヴァン、出る、出るから、はな…せ、ああっ、だめっ、ぁぁやあああ」
口を窄めて激しく吸い上げると、暴れていた身体が一瞬動きが止まる。
「ヴァ…あああっ」
ガイラルディア様が小さく絶叫すると、私の喉奥に熱いものが叩きつけられる。
身体を痙攣させながら、数回精液を口の中に放つ。
喉を鳴らして飲むと、息も整わないのに、上体を起して
「ばっ、呑むな。出せ」と先程の甘い声はどこにいったのか、怒ったように私に詰め寄る。
「残念ですが、もう飲み下しました」
「……っ」
みるみる顔が真っ赤になり、手の甲を口にあてている。


徐に私の顔を掴むと、いきなり唇を重ねてきた。
スルリと私の口内にガイラルディア様の熱く柔らかな舌が入り込み、歯列をなぞる。
口内の残滓を全て舐めとろうとしているようだ。
そのような事は必要ないのだが、ガイラルディア様から情熱的な口付けをされるのは悪くはない。
好きにさせていると、ようやく銀糸をひいてガイラルディア様の口が離れる。
「まずいな」
「そうですか。ガイラルディア様のものなら」
「お前、そういう恥ずかしい事を真顔で言うな」
「ふむ。では」
ガイラルディア様の肩を軽く押す。え、と小さな声をあげて、そのままベッドの上にあお向けになる。
クッションを二つ掴んで、ガイラルディア様の腰の下に滑り込ませる。
「今日は互いに顔を見ていたしましょう」と笑いながらガイラルディア様を見下ろす。


「あっ…あっ…やっ、また…で…る…ぅ」
ジュブリ、ジュブリ。
一度、ガイラルディア様の中で放った精液が、律動に合わせて厭らしげな水音をたて、情欲を益々そそらせる。
ヌチュ、ヌチュ。
互いの腹にガイラルディア様の精液が飛び散り、律動に合わせて厭らしげな音を立て、高みへと誘う。
「何度でも」
耳元で熱く息で囁くと、蒼い瞳を潤ませて、「ヴァン、ヴァン」と身体を震わせながら切羽詰った声で私を呼ぶ。
腰に回されたガイラルディア様の脚が、離すまいと力を篭められる。
熱く柔らかく私を包み締め付けるガイラルディア様の中を激しく穿つ。
跳ねる身体の背に腕を回して、きつく抱き締める。
「あ…っ、ヴァン、ヴァン!」
シーツを掴んでいたガイラルディア様の手も、私の背へと回される。
密着した身体。
同じように快楽を追い求めている。
だが、通い合わない心。

「んっ、ヴァン!ああっ、んっ」
私の名を呼ぶあなたの声に、私の身の内の獣がまた顔をあげてくる。
このまま、あなたの命を奪ってしまえばこの時は永遠のものとなるのに。
この思いは永遠になるのに。
「あっ、ああっ……ヴァっ!!!」
ギュっと腰に回された脚がきつく締め上げられ、私の身体の下で小さく痙攣を繰り返す。
根元を食いちぎるような締め付けの後、腹にまた熱いものがかかる。
荒い息を繰り返すガイラルディア様を、追い立てるように口を塞いで、ガイラルディア様の身体に刻み付けるように深く奥を抉る。

ああ、本当に。
あなたの命を奪って、この時を永遠のものとしたい。

 





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