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創作短編『それぞれのゆく年くる年』
社員食堂にて (後編)
「あの性格じゃ嫌になるでしょ、奥さんも。まぁ課長も見た目はそこそこイイ男なんだけどね〜」

「何でも、家出てったのは課長の方らしいよ? 情けないよねー」

「今狙ったら落ちるかもよ、課長♪ 誰か行く!?」

「え〜ヤダー!」

あはは!と賑やかな笑い声が沸き立ち、女の子達の間に噂の花が咲く。

ひとしきり笑った後、

「えー、だってさぁ、諫山課長って風本(かざもと)係長に気があるんじゃないの?」

「あの2人は無いでしょ〜。めっちゃ仲悪いじゃん」

〜とそこへ、それまで特に興味なさそうに彼女達の会話を聞いていた新卒の男の子が割って入り、

「風本係長って美人っスよねー。彼女にしたいなぁ」

同じテーブルに着いている全員が、新入社員にジト目を送った。

「おい、あの人はやめといた方がいいぞ?」

と、隣の席の男性先輩社員が彼の肩を叩き、周りの女の子達も、

「そうだよー。係長が何て呼ばれてるか知ってる? “釣った魚に餌をやらないタイプ”とか“冷酷非道のドS”だとか“雪女”なんてアダ名付いてんだよー?」

と諭しにかかる。

「ほんとっスかー? でもオレ、あんなキレイな人になら何されてもいいなぁ♪」

ヘラヘラ笑いながらカツ丼を食べている彼に、「お前アホか!」と周りからの総ツッコミが入った。



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