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白い部屋



同室になって気付いた事があるが、仙蔵のスペースは常に、恐ろしい程に整理整頓されている。
余計な物は一切ない、彼は部屋に余計な課題や委員会の仕事なども持ち込まずあくまで『居る場所』としてこの部屋を使っているようだ。

そりゃあ俺も綺麗好きな方ではあるが仙蔵の場合それが度を越しているといった感じでだから時折こいつに恐怖する、こいつが掴めない奴だと思ってしまうのだ

できる男は違うのだ、と以前そんなことを言っていたがそれにしたって常に埃ひとつない男の部屋、というのは
「お前の場所はなんていうか、落ち着いていられんな」
帳簿の計算を終えふと口から出た言葉はだから仙蔵の驚いたような顔を見て「しまった」と思ったが、言わずとしていつかは言っていたことなのだ

「そうか」
だから仙蔵の返事は予想外だった
「私には丁度良い」
もっと嫌味ったらしい、ねじまがった、見下すような返事がくると身構えていたぶんこっちが驚いた



まあ、だから
(陰なくして光なしというか)
仙蔵が含み笑いをしながら
「だからお前がいるのではないか」

小さく呟いた仙蔵の声は良く聞き取れず、聞き返すも
それよりもこちらに来い。と珍しく微笑まれ、やはり俺は身構えてしまった






【白い部屋】*仙文*


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