[通常モード] [URL送信]
りんごほっぺ


さむいね、と長次の膝の上で小平太は呟いた

うつ向くと大きな瞳は眠たそうに揺れていて、今にも綴じてしまいそうでおぼつかない。
確かに今夜は冷える、冬が近い。
本に集中してて気付かなかった、ふ と吐いた息は細やかに白くあっという間に空気に溶ける
火鉢を出すのが億劫だったので小平太を布団に促すと彼は嫌嫌とごねて長次の腰にしがみついた。ここがいい、とむにゃむにゃ言って離れようとしない。
長次の膝から横にのびた小平太の裸足の先は透けそうに白い

「風邪ひくぞ」
そう言ったが返事すら曖昧で、小平太は半分夢の世界に旅立っていた。しかし腰に回った手は外そうとしたが放れない。長次のついたため息がまた白く溶けた。くしゃくしゃの彼の毛を結きながら長次は言う
「小平太」
「んん」
「布団で寝ろ」
「うう、う」
「俺も寝るから」
そう言うと小平太は億劫そうに顔を上げて、ホント?と尋ねる、長次は頷きながら片手で本を綴じた
「一緒に?」
長次は返事のかわりに、小平太の額にかかる髪をかきあげて、ゆっくり屈んで唇を落とす。やわらかいそれに小平太は身体の底からほぐれていき、心底嬉しそに笑い声を洩らした。
「うーれしいなあー」
間近で見る小平太の頬は寒さで赤く熟れていて、果物みたいだ、とその頬に唇を移動させたら吃驚するほど冷たくて、ほのかに甘い。そんな気がした







【りんごほっぺ】


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!