お子様ランチ(血盟) 「トマトソースで炒めたご飯が食べたい」 「?」 さて昼飯を作ろうか、とキッチンへ向かう所で、長い廊下をJr.がまっすぐこちらに向かって来たかと思えば、いきなりそう言ったので拙者は首を傾げた。 「それはつまり、チキンライスか?」 トマトソース、大衆的に言えばケチャップで、炒めた飯といえばそれだろう。 するとJr.は首を横に振る。 「違う、トマトソースで炒めたご飯だ」 「ケチャップとは違うのか」 「赤いソース、甘からくて」 矢張ケチャップか、と冷蔵庫にあるそれを確認。うむ、このあいだ特売で買った業務用が封切らず置いてある。 「具はいらないのか、チキンはないがソーセージならある」 お前好きだろ、と尋ねるとまたJrは首を横に振る、具はいらないという表しか 「それだけでいいのか」 「ソーセージは別に炒めて」 「分かった」 「あ、それと、ご飯に焼いた卵乗せて」 そう言ってJr.は返事も聞かずにキッチンを去って行く。しかしJr.の簡素な説明をすべてまとめたメニューといえば、すごく何かに似ている 他の奴らの意見も考えずに冷凍ご飯をレンジに放りこみながら 拙者はJrにはどうも甘い。 と考えてしまう 昼飯の時間は決まっていてみなが銘々リビングに集まる、最初に現れたバッファがテーブルの上を見て変な声音を出す 「なんじゃこりゃ、お子様ランチか」 そう、大きめの皿にはオムライス、ソーセージ、彩りの野菜、おまけに冷凍のハンバーグを載せたプレート オムライスには拙者渾身の作品、日本国旗付き 「ただのオムライスだ」 しずしず、とオムライスにかけるケチャップをテーブルの真ん中に置き拙者が言うとますますバッファは変な顔になる 「しっかしこりゃお前」 「文句があるなら食うな」 そう言えば、バッファは黙って席に着く、不服そに口を尖らせ。うむ従順 あとから来たアシュラも同じようにして座らせる、バッファとアシュラ、でかい男に可愛気なワンプレートという組み合わせはなかなかシュールである。 キャプテンは拙者が一言言うこともなく大人しく席に座っていた。気のせいかご機嫌に見える 歓声を上げたのはJrだ。 テーブルのプレートに目を輝かせ、いきなりがっつきそうになるところを押さえる。 いただきます、と声を揃えてスプーンを動かす超人五人。オムライスに刺さっている、小さな、旗をでかい二人は恥ずかしそうに脇によけて無言でオムライスを口に運んでいる。 キャプテンはたこさんの形のソーセージがいたくお気に入りのようだ。 「すげえなニンジャ、俺が食べたいもんをここまで再現するなんてっ」 ケチャップをオムライスにたっぷりとかけながらJrは顔いっぱいに笑うので、拙者の口も、スプーンを含みながらも若干歪んだ。 うん、今日も良い午後が過ごせそうだ。 【お子様ランチ】 |