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シュガー+(2000hit)智美さん
バレンタインデーなんて、一体どこの誰が考えたんだろう。
シュガー+
正直言うと、私は料理がすこぶる苦手。平気で鍋底を焦がしたり、平気で調味料を間違えたりする。別に好きな人がいた訳でもないからチョコなんてモノ、作ったことがない!
でも今年は違う。
今年は、御伽くんがいる…
困った…。
「御伽くん、甘いもの好き?」
「んー普通かな」
「そっかー」
「…もしかして、バレンタイン?」
「!」
バレています。
私の顔を覗き込む様にして彼はさらりと『バ』の付く単語を発した。今の私には禁句と知らずに。
「…うん!えと、ね、チョコ作るから楽しみにしてて!」
と言ったは良いものの、先述した通り私はチョコなんか作ったことがない。しかも「楽しみにしてて」なんて。御伽くんの笑顔の返答が、余計ハードルを引き上げた。
「…苦い…」
何故だろう。しっかり作り方通りにやっているのに…。
湯煎で溶かしたチョコをかき混ぜながら、ぽつりと呟いてみた。
「あありえないぃ…」
どっかで聞いた様な台詞が、今の状況にはお似合いだった。本当にどうしよう。このままでは、御伽くんにチョコ、渡せない…。
(徹子(名前)ちゃん)
「御伽くん…ごめん…」
14日なんて、
来ないで欲しい。
バレンタインなんて。
「徹子(名前)ちゃん、おはよー!」
「お、おはよ…」
「どうしたの?元気ないよ?」
本当、この人は勘が良いというか顔色を読むのが上手いというか。本日の主役を目の前にしてもしなくても、元気でいる訳がない。
もう、言ってしまおうか。
言ったら、楽になれるのだろうか。
「じっ実は私、料理って凄く苦手で…全然上手く出来なかったから、その、チョコ、持ってこれなかった、の…」
「え…」
「本当に、ごめんなさい!」
恥ずかしい。
女の子なのに料理が出来ないなんて、彼は、どう思うんだろう。恥ずかしさと不甲斐なさで、眼には涙が溢れて来た。
「…僕は徹子(名前)ちゃんが作ったものなら、何でも」
「どんなに下手でも良いんだ。だって僕のために作ってくれたんじゃん!」
「御伽、くん」
「あのさ…今から徹子(名前)ちゃん家、行って良い?」
「…うん」
苦くなってしまったチョコは、甘い気持ちで中和して。きっと、きっと、倍以上の甘さに跳ね上がるから。
(…本当に苦いから、覚悟しといて!)
「苦っ!」
せめて御伽くんの誕生日迄には、少し上達していよう。残された期間は、後14日。
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智美さん、本当にお待たせ致しました…!しかも凄く駄作の香りが…すみません;
ありがとうございました!
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