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渚のコーヒーシュガー
「瑛くん、また焼けたね!」
「げっ、マジで?」
渚の コーヒーシュガー
それは波乗りのせいだ。
梅雨も明けてめっきり暑くなったから、それに伴って水温も上がった。近頃は波乗り日和なのだ。日和ならな、乗らないわけにはいかないな。波乗りは人生だからな。
「そんなに焼けたら、瑛くんがコーヒーみたいになっちゃうよ」
「コーヒーは好きだけど、液体に例えるのやめてくれよ」
そんな冗談をこぼして徹子(名前)はケラケラ笑った。
今年の梅雨明け後はカラッとした晴天が多く、ついつい海へと足が向かってしまった。そのせいで、元々の地黒も手伝って、おれはさらに色黒になってしまっていた。人生だから波乗りのせいにはしない。太陽のせいだ。そう。太陽のせいだ。
どこがツボに入ったかわからないが、まだちょっと笑っていたので、3回チョップしておいた。
徹子(名前)はごめんごめん、と苦笑しておれの顔を覗き込む。下から覗き込むの、反則だと思った。
「怒ってる?」
「…怒ってない」
ちょっと恥ずかしくなって顔をそらしてしまった。コーヒー淹れる、と立ち上がってその場から離れる。おれってやつは。情けない。
とりあえず、おれはブラックで、あいつは砂糖を一杯。
付き合って、日は浅くない。だけど、どんどん好きなところが増えて、どんどん愛しくなっていく。じわじわ甘みが増していく、これはまるでコーヒーシュガーのよう。
(コーヒーに、コーヒーシュガーね)
まあ、悪くないかな。
「…もうちょい焼けようかな」
「え!?松崎しげるになっちゃうよ!」
「コーヒーどこいったんだよ!」
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瑛くんマジ松崎しげる
2015.7.29
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