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君は遠くて眩しい光
速くて見えない。
こんなことってあったんだ。きみが進んでいく速度は、私にはとても速くて、悲しいほどに追いつかない。
跡部くん、私はきみに隠していたことがある。
君は遠くて眩しい光
私はきみが好きだ。
それを何かと比べることが罪に値しないほどに、きみが好きだ。好きと言う言葉以外に、きみに対する、きみに伝えることばが見つからないんだ。
部活中に部員に配っている目が好き。努力している姿勢が好き。見た目と裏腹の優しさが好き。挙げたらキリがないくらい好きなんだ。きみにとったら、ただのクラスメイトでただのマネージャーかもしれない。もしかしたら3%位の確率で私のことを好いてくれているのかもしれない。でもね、きみには私じゃダメなんだ。きっと。
「徹子(名前)」
「……」
「徹子(名前)」
「………」
「徹子(名前)」
「あ、」
「どうした、部活行くぞ」
3度呼ばれて気が付いた。
きみは私が想像し得ないスピードで進んでいく。私はそれに亀の歩みで着いていく。入部するとき、きみはそれでも良いと言った。きみは、どういう思いで言ったのか?私はどういう思いでそれを受け入れたのか?このごろは、全く思い出せない。
「跡部」
「あん?」
「…何でも、ないや」
「…そうか」
きみは私を3秒見つめて、「行くぞ」と言って数歩前を歩いていった。きみはいま何を思った?何か、ことばをくれないか。私は自分に自信がない。きみを好きだと言う思いすら、確信が持てない。きみのことばが欲しいんだ。我が儘な、弱いぼくを支える、きみのことばを。
ああ、きみの背中はなんて遠い。
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諦めそうなお話
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