zzz
「あっちぃ」
「…皆暑いんだから、言わないの」
「暑いモンは暑いから仕方ねーだろうが」
「でも、確かに暑過ぎるよ、この部屋」
夏だ。
宿主は娑婆は暑いから、と言って必要最低限以外表に出て来なくなった。
おれ様としては、都合が良いのだが。果たしてあいつはこの身体を誰の身体だと思っているのだろうか。
「…エアコン、つける」
「っちょ、徹子(名前)徹子(名前)!」
「何よ」
宿主は引っ込む前に、一つだけ約束を『置いて行った』
(命の危機を感じるまで、エアコンつけないでよね。節・約!)
逆らったら、どうなるか分からない。だからおれは、ギリギリまでエアコンのスイッチを入れる訳にはいかないのだ。
「暑いよー!」
「我、慢しろ、よ」
「バクラ?」
無理だ。
自分が思うより、体は限界だった。ここまで耐えたんだ、宿主も怒りはしないはずだ。大体、本来は宿主の体だぜ、これ。
「入れろ…スイッチを」
「でしょうよ」
若干遠のく意識の中、
エアコンのスイッチを探しに立ち上がる徹子(名前)の姿が目に入る。
額や首筋に、一筋二筋、汗が光る。立ち上がった時の角度で、キラキラ光って見えた。こいつってこんなに綺麗だったか?
(―あ?綺麗、か?)
それはまるで
或る晴れた日の白昼夢
(―いや、暑いからだな)
「じゃエアコンつけるからね」
「やっぱ、駄目だ」
「獏良君諸共、死ぬよ?」
バクラくんは脳みそファンシーだと思います。
お題提供 Aコースさま
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