zzz 外は静かで虫の鳴き声しかしない。昔って、こんなに音が少ないのか。 他に音が聞こえるとすれば、2人の心音位だった。 「ごめんなさい」 鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)だ。私の口から鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)が言葉を出した。 「留、わかる?鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)よ。10年前に死んだあなたの幼馴染」 「お前、どういうことだ…?」 「私は…あなたに伝えたいことがあって、私の生まれ変わりの体を借りてここまで来たの」 「…」 「好きなの。好きなの、死ぬ前から、今でもずっと」 やっぱり、私の前世。 あなたもずっと食満が好きだったんだね。来世に受け継がれるほどに。 食満もあなたが好きだよ。 じゃなきゃ、私にこんなに良くしてくれないでしょう。 「俺は、お前が好き、だった」 「…だった、なの…?」 「お前が、他人の体でやって来るから」 「ひとの、からだ…」 「好きなら、本来の姿で、夢枕に立ってくれるべきだった」 鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)の表情が曇る。 鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)の痛む心が伝わる。 痛い、痛い。 「…確かに初めはお前にそっくりなこいつを、お前として見ていたが」 ああ、やめてよ。 涙が出そう。 「いつしか来世の、お前とは違う『徹子(名前)』を見てたんだ」 「そ、う…」 「呪ってくれても構わない。実際、事故の衝撃でお前の存在をも忘れていた俺だ」 「…でき、ない。できない、よ」 できないよ、そんなこと。 鉄子(1の名前を別の書き方で/nintamaのみ)が泣いてる。 それは決して悔しさと悲しさにまみれた涙だけではなくて、食満の懐かしい優しさに触れた切なさもある。気がする。 「俺は徹子(名前)が好きだ」 「う、ん」 「お前の気持ちには応えられない」 「うん」 「…悪い」 「謝らなくていいよ」 (留は何にも悪くない) 「さようなら」 14 触れたい貴方がそこにいない [*前へ][次へ#] [戻る] |