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夢で、続きは。
夢で、続きは。
「ねぇ、徹子(名前)ちゃん」
辺りは濃紺に包まれ、外には人っ子一人いなくなる程の真夜中。電気を消せば、失明したかの様な暗闇と、真っ暗な沈黙が部屋の中まで増幅される。その閑寂とした空間に、あたしの名を呼ぶ彼の声が響く。
「……ん」
「…素ッ気無いなぁ」
「…なんなの…」
「用が無くちゃ、話しかけちゃいけない?」
そう言う訳じゃない。こんな時分に起こされたら、誰だって機嫌くらい悪くなる。只でさえ今日は学校やら、買い物やらで色々と動き回って疲れていると言うのに!
「あたしは眠いの」
「知ってる」
「じゃあ、どうしてこんな時間に起こすの」
「…何となく、徹子(名前)ちゃんの声が聴きたかったから」
あたしの声が聴きたいから、夜中でも起こすって言うの?全く、迷惑な話!毎日会ってるんだから、朝でも良いじゃない。
「…おやすみ」
彼は渋々、あたしの反対方向に寝返りをうち寝る態勢に入った。
しかしその後ろ姿の、寂しいこと寂しいこと。あたしは眠くて仕方が無くて、出来ることなら無視して寝たい。でもなんでだろう、それは出来なかった。しょうがないから軽く溜め息を吐いてから彼の背中に額を付けて、おやすみ御伽くん、と呟いた。
「お、おやすみ」
それから数分後、あたしは御伽くんのドキドキを聴きながら静かに眼を閉じた。
(夢で、続きは。)
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