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zzz
最終地点までの距離
 



最終地点までの





「なぁ白石ぃ」
「何や」


自習とは名ばかりの
休み時間の延長の様な
4時間目。
昼休みが近いせいか、クラス内のざわつきも尋常では無い。


「千歳くんのアドレス知っとる?」
「知っとるよー」
「教えてくれへんかなー」


試合のオーダーを作成していた目の前のテニス部部長はキョトンとして顔を上げた。


「徹子(名前)マネージャーやし、聞けばええやん」
「聞けるかアホー」
「女子にアドレス聞かれて嫌や思う男はおらんで」
「…けど恥ずかしゅうてよう言わんわ」
「お前…羞恥心持ち合わせとったんか!」
「白石に聞いたあたしがアホでした」


嘘や、と言って奴は笑った。

「そうやね…ちょっと行こか!」


どこに、と言わせる間もなく白石に連れられて向かった先は

屋上だった。


「ちょっ…!ここ千歳くんおるとこやん!」
「そ。自分で聞いてき」


そう言ってバシンと押された私の体は屋上の扉を開け、外に投げ出された。痛いわ。
すると、その物音に気付いた長身の人物が私に声を掛けた。


「お、徹子(名前)ちゃん。どげんしたと」
「ち、千歳くん」


白石に助けを求めたくて背後を振り向くと、絶頂の申し子はグッと親指を立てて、いけいけ!とばかりにこちらを見ている。


(ほんま他人事やと思って)


「自習、よかねー」
「千歳くんはいつも自習やん」
「そういえばそうたい」


カラカラと笑う彼はいつもより一層輝いて見えて、この世のものとは思えなかった。
そのせいで私は自分が自分でなく、ここにいるのは私の分身であるような錯覚を覚えた。勿論、次に口を開いたのは「私」ではない。はず。






「な、なぁ、千歳くん」






最初の一歩は
自分じゃなくても、
次の一歩は、



(…何や、白石、ありがと)






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 千歳出番少なっ\(^o^)/千歳に恋する主人公、恋のキューピッド(古)エクスタシー様のお話です。白石は主人公と普通に仲良しだと素敵。





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あきゅろす。
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