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zzz
今の僕は同じことを考えてる
 

エメラルドグリーンが印象的で

透き通るように綺麗な瞳と

黒くて長い髪の毛を持つ、

紅いヘアバンドをして

左耳に一つだけダイスのピアスを付けている

彼が頭からはなれない。


の僕は
じことを考えてる




『寝ても覚めても』、これが表現としては一番適切なのかもしれない。とにかく朝起きて、すぐに思い浮かぶ。朝も昼も夜も、登校中も、授業中でさえ、右隣りに座る彼のことを考えてしまう。


今、何を考えているんだろう。何をしているんだろう。
ねえ、御伽くん、
好き。
好きです。


妄想の中で告白の予行練習なんかをしているあたしは、いい加減、病気?と自分を自分で疑いたくなる。

「…徹子(名前)ちゃん?まだ居たんだ」
「あっ、」

自分の名を呼ばれて我に返ると、あたしは教室で、自分の席に座っていた。声がする方、すなわちドアの方に目をやると呼ぶ声の主は、御伽くんだった。クラスメイトの姿は既に無く、いつの間にか空はオレンジに染まっていた。

「大丈夫?ずっと、ぼーっとしてたみたいだよ」
「大、丈夫だよ。御伽くん、ありがとう」

もはや心は痛んでいる。ここまでくると不意に、彼を、御伽くんを独占したい気持ちに駆られる。


好きなんだ。
好きなんだよ。
あたしは貴方のことが。


隣りの席の彼は、私の気持ちを知らないと言うのに。あたしは弱虫だから、伝えることも出来ないのに。
想うことしか出来ない自分の腑抜けさに、ダムが決壊したかの様に涙が溢れ出て来た。

「!どうしたの?やっぱりどこか、具合悪い?」
「……ち、がうの…ちがう…」

涙で声がまともに出せない。涙で顔もまともに見れない。もう最悪。あたしなんか、心からドロドロに溶けてしまえば良いのになぁ。

「徹子(名前)…ちゃん…」

瞬間、視界が暗くなった。それと同時に近くで何かの音がした。…心臓、心臓の音。御伽くんの、通常よりだいぶ速く高鳴った、心臓の音がした。
御伽くんは、あたしをそっと抱き締めていた。無言の状態が続いた。あたしの鼻を啜る音と、御伽くんの心臓の音、外で運動部が掛け声を合わせてランニングしている音以外は何にもない空間で5分後に最初に声を発したのは、紛れも無い、あたしだった。

「御、伽くん」

はっと我に返り、この状況を認識した御伽くんは、何時に無く頬を紅潮させ慌てていた。

「ご、ごめん!いきなりこんな…落ち着けば良いなと思って…!」
「い、いいの。それより、あたし、御伽くんに言わなきゃいけないことがある」

言うなら、今しかない。あたしのどこかで、あたしが決心した。

「あたしはずっと、御伽くんが、」

「好きだよ」

あたしの眼が、大きく開いた。あたしが、言うべき言葉が、あたし以外から聞こえたのだから。

「今の僕は、君と同じことを考えてる」

貴方を想い、想って、涙した。貴方が頬を赤らめ、あたしが欲しかった、言おうとした言葉をくれた。
それは解毒の呪文、

今の僕は同じことを考えてる


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お題確かに恋だった様より

 


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あきゅろす。
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