L・Love song(本編)
<278話>新たな生活、繋がる風 [合同編]
-アパート-
[蒼真視点]
マオ「蒼真ーッ!!」
蒼真「な、なんだっ!?」
オレ、ソウマこと秋月蒼真は昨日の夜、この家に帰ってきた。
そして一緒に着いてきたマオと二人暮らしをすることになった。
元々一人暮らしをしていただけに問題なくマオを住ませてあげることが出来てよかった。
蒼真「どうしたんだよ?」
マオに近付くと、ジリリリリと朝を報せる時計を手にしておろおろしたマオがいた。
マオ「そ、蒼真〜。なんかこれがいきなり鳴りだして〜」
蒼真「………」
オレは黙ったまま、マオから"目覚まし時計"をひったくる。
そして一番上にあるボタンを押す。
それと同時にジリリリリと鳴り響く音は止んだ。
蒼真「これは目覚まし時計っていって、朝起きるための道具だ」
マオ「そ、そうなんだ…」
マオは照れ笑いを浮かべる。
蒼真「まぁこっちの世界のことはこれからゆっくり慣れればいいんだよ」
マオ「……うん、ありがと蒼真」
そのマオの様子がなんだか可愛らしくて、思わず頭を撫でる。
マオ「ち、ちょっとやめてよっ」
頭を撫でられるといつも照れるマオ。
その様子が可愛くて、ついついやってしまう。
マオ「ほら!出かけるんでしょ!?」
蒼真「あぁ。そうだったな」
そう。
マオもこっちにきた以上、学校に通った方がいいと思い、交渉に行こうと思ったのだ。
ウチの学園なら人間、神族、魔族と様々な種族が通っている。
ならば獣人族も大丈夫なのでは?と思ったのだ。
またトライハルトとヒルダのことも伝えなければならない。
でもまあ、"あの人"に相談すれば大丈夫だ。
蒼真「よし。じゃあ朝飯食って、早速出かけるか」
マオ「うんっ」
不安はあるが、マオの笑顔を見ていたら、これからの生活に期待の方が大きかった。
………………。
-霧谷家-
[霧谷視点]
霧谷「ん……」
俺はキリヤ、霧谷魁斗だ。
エンディアスから帰ってきた昨日は、疲れと安心ですぐに眠ってしまった。
俺はまだボーッとする頭を揺すり、自室の窓を開け放つ。
すると目を指すような光と、春の暖かな風を感じた。
霧谷「いい…天気だ……」
そう漏らすと、不意に風が吹き付けた。
そしてその風がいつもの風と違うことに気がついた。
霧谷「……聞こえた」
その瞬間、風からメッセージを感じた。
霧谷「そうか……、よかったなゼクティ…」
ゼクティからのメッセージ。
腐敗した森に最初の芽が出たようだ。
ホントに耳を澄ませたら聞こえた。
椎名「霧谷ーっ」
すると家の前から大きな声で呼び掛けるシーナこと椎名夏音とその隣りに佇むクレハこと呉羽冬華。
椎名「早くしなさいよっ!買い物付き合ってくれるんでしょ!?」
呉羽「…………」
あまりに急かす椎名を見て呉羽は苦笑いを浮かべている。
霧谷「わかってるよ、今行くって!」
戻ってきた日常。
それぞれ歩き出した仲間達。
場所は違えど、空は違えど、俺達はきっと繋がってる。
風が俺達を繋いでくれた。
………………。
=続く=
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