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いにしえからのこもりうた
7、強くあれ

フレイが何かをリビングへと持ってきたのと、同じくらいにエメラが遊戯に紅茶を出していた。

エメラはフレイが持っていたものが分かったようで、笑みを浮かべている。フレイと自分の分の紅茶はサイドテーブルに置いて、彼の持ってきたものを置くスペースを作る。
わりぃな、とフレイはエメラに言いつつ、そのファイルになっているもののしっかりとした表紙を開いた。

そこにはカードの絵とテキストのデータが何ページにも渡って保存されたものである。
デュエルモンスターズのカードは日夜増え続け、そのうちに天文学的な量にまで達する。と予測したフレイがこれまで世に生み出してきたカードのデータを全て保管していたのだ。
そこには遊戯が見たことのないカードが沢山あった。
驚きつつも、ページをめくっている彼の傍らでエメラが世界大会にまで出ていくと、いつ突拍子もないカードが出てくるかわからなくなるもの。だからフレイの保管しているデータが重要なの。と言う。

フレイはその冊子のなかのカードは枚数制限がされていないカードだからいつでも渡せる。と言った。その後に、いくつかのカードを取り出し遊戯に差し出した。
差し出されたカードに遊戯はきょとんとする。



「ブラック・マジシャンを主力にするならこのカードがいいだろう。後はデッキに入れていて損がないカードだ。」



まぁ、使う使わないはお前次第だ。無理やり入れろとは言わねぇよ。とフレイは遊戯にカードを数枚手渡した。
遊戯は受け取ったカードを見る。
”死者蘇生”、”聖なるバリア-ミラーフォース-”、”秘術の書”、”黒・魔・導”、”黒魔術のカーテン”などである。
遊戯はバッと顔を上げ、フレイを見た。
フレイはエメラの淹れた紅茶を飲みつつ、カードの書類に目を通していた。そんな彼に遊戯はなぜ…。と呟く。
彼がどうしてここまで自分にしてくれるのかが遊戯にはわからないようである。



「海馬を倒したっていうのはそういうこと、だ。」


「?」


「アイツはエメラよりも強い。」



フレイの言葉にエメラは苦笑しながらも頷いた。
彼女は今回、自分が優勝出来たのは、海馬が不参加だったからだ。と言う。

彼自身、才能のある者は育てることが自分の役目だと思っているようである。それはペガサスが孤児を集めて優秀なデザイナーやデュエリストを育てていることと同じ。
自分の才能を見込まれた人間の一人。少しでも彼の役に立ててるように才能のある人間には手を差し伸べているのだ。

そして、その一人が歌手をしているエメラ、ということである。
彼女の場合は特殊で、歌手もしているためにインダストリアル・イリュージョンの広告塔にもなっているのだ。

遊戯はありがとう。と笑みを浮かべつつ、デッキを入れているケースに大切にしまった。




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あきゅろす。
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