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部屋はその人の人間性を写し出す










「たっだいま〜」
「…」
「ちょ、ただいまくらい言えよな!」
「誰もいねーだろォが」
「ブーブー、晋ちゃんが反抗期ー」
「ぶっ殺すぞマジで」


学校から帰った銀時と高杉は、リビングに荷物を置く。何も入っていなくて軽い銀時のカバンとは対象的に、高杉のエナメルのカバンはパンパンだ。床に置くと物凄い音をたてた。


「うわ、お前何入れてんだよ」
「あ?色々」
「…へー…」
「な、なんだよ!?」
「ん?別に〜…」


妙に焦りながらカバンを部屋に置きに行った高杉。

明らかに挙動不振で怪しい。


「(超怪しいんだけど…)」


銀時は冷蔵庫をあさりながらふと考えた。

(あ、まさかエロ本?)

だが、あの高杉がエロ本ごときであんなにそわそわする訳がない。


―ガチャ


「ただいま」
「あ、おかえり〜」
「うむ、ただいま」
「今日の晩飯なに?」
「鍋焼きうどんだ」
「うぉ、やったねー!」


そうこうしてる間に、桂が帰宅した。今日の晩御飯は鍋焼きうどんらしい。

辰馬は帰りが遅いらしく、作り置きにカレーも作るという。我が家のお母さん化してきた桂は、いつぞやのフリフリエプロンを着こなして台所に立つ。


「ヅラー」
「ヅラじゃない桂だ。何だ?」
「高杉ってさ、スゲー重い荷物毎日しょってんじゃん」
「あぁ、だからチビなのだろう」
「そうそう…って違う!アレさ、何か知ってる?」
「あぁ、知ってるぞ」
「マジでか!何なのアレ」
「フフフ、秘密だ」
「キモ!え、ちょ、キモ!」
「キモじゃない桂だ」
「違ェェエ!…もーいい。直接聞いてやるからな!」


バタン!と銀時が部屋の扉を閉めた。

桂は、なんだかしてやったりのにやけ顔で夕飯の準備に取り掛かる。何も知らない高杉の部屋へと、銀時が向かった。




―トントン


真っ青の扉を銀時はノックする。木彫りの黒いルームプレートには『SHINSUKE』と刻まれている。


「高杉ー、いるのはわかってんだー」
「…」
「無言の抵抗かコノヤロー」
「…何だよ」
「入れろ」
「無理」
「なんでだよぉぉお」


また銀時は海の様に真っ青な扉をノックした。これで5回目のやりとりになるが、高杉は頑として開けようとはしない。


「開けないとドアぶち破りますよー」
「ンな事したら辰馬が怒るぜ」
「……そんなに隠す事なのかよ、」
「?」


銀時の声が段々と震え出す。小さく呟かれた言葉は高杉に届かず、木製のドアに吸い込まれていった。
ドン!と銀時はドアを殴ると、ダンダンと足音を響かせながら自室へと消えていった。


「…なんだアイツ」


銀時の部屋のドアのプレートは「入るな危険」
ふざけたプレートだが、あれは銀時が本気で怒った時に付けているヤツだと高杉は知っていた。そんなに怒らせる様な事をしたのか、と少しの罪悪感に苛まれる。


「銀時、」
「…」
「…別に、テメェが嫌いで隠してるんじゃねェぞ?」
「…」
「…」
「…」
「ったく、ンなくらいでいじけんなよな…」




ガサガサと何かをしだした高杉。銀時はちょっと気になる。そろりそろりとドアを開けるとそこにはエプロンを着た高杉がいた。しかも、絵の具塗れの。


「晋ちゃん?」
「晋ちゃん言うな。これでわかったろ」
「…何コレ」
「あん?油絵の具」

「っ…ぶわはははははは!!」
「!?」


いきなり腹を抱えて笑いだす銀時。


「何笑ってんだお前」
「だ、だって…繊細さのカケラもねぇお前が…油絵…ぶふっ!!」
「………。」




バッタン!

勢いよく銀時の部屋のドアを閉めた。拍子に顔をぶつけたらしい銀時が悲痛な叫びをあげていたが、高杉はお構いなく部屋を後にした。










その日の夕飯、打った額を冷やしながらご飯を食べる銀時を、始終睨んでいた高杉がいたとか。










余計な事をする銀さんに天誅!




あきゅろす。
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