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地震、雷、火事、辰馬










朝、8時…――

新たな同居生活の始まった4人の住む家に、断末魔の叫びが響き渡った。






「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!」


早くから起きていた桂と、バリバリ二日酔いの辰馬がリビングへ向かうと、そこにはソファーで雄叫びをあげている高杉。
そして、その高杉を抱き枕の様にして爆睡している銀時の姿。


「どうした高杉」
「キモイ!ヅラこれひきはがせ!!」
「むむ?銀時か。別にいいだろう」
「良かねェよ!!嫌だァァ!マジキモイ!!」
「アッハッハッ…別に害は無いぜよ?」
「取れつったら取れやぁぁあ!!」


銀時の抱き着き攻撃によって手足を拘束された高杉は、眉間に皺を寄せながら怒鳴っている。銀時は銀時で、そんな状況でも起きない。恐るべし。


「金時ー、早ぅ起きるぜよー」
「…」
「返事がない、ただの屍のようだ」
「うざい。ヅラしゃべんな」
「なんだその口の聞き方は!!貴様は反抗期の中学生か!!」
「ンだよそのリアルな設定!つーか早く銀時取れや!!」
「それが人にものを頼む態度か高杉」
「…っ!」
「アッハッハッ」
「坂本!助けろやボケ!!」
「…アッハッハッ?」
「なんで『?』なんだよコラァァア!!」


朝から賑やかな4人組。しかもそのうち3人は二日酔いの人間なのだから驚きだ。高杉が叫び、辰馬が笑い、桂がネチネチと説教をたれていると、大騒ぎの原因人物がのらりくらりと目覚めた。


「んー…何だよ朝っぱらから…」
「あ、金時起きたぜよ〜!」
「金じゃなくて銀だぞ坂本」
「おはよー…頭痛い」
「二日酔いだからだろう。まだ寝てろ」
「ん」
「や、ちょ、待てや銀時ィ!!」


またもやまどろんでいる銀時に、すかさず高杉がツッコんだ。流石に高杉の精神状態も限界らしく、半狂乱で銀時をたたき起こす。


「いだだだだだ!ハゲる!!ハゲるハゲるぅぅう!!!!」
「テメェ…早く退けっつーのが聞こえてねぇのか、あ゙ぁ?」

「「(高杉キレてる…)」」

「は、ちょ、何キレてんの晋ちゃん?」
「朝起きたらテメェが抱き着いて寝てたんだろーがよォ!!」
「え…そんな事?別にいーじゃんよ。襲った訳じゃねぇし」
「襲ってたら殺す」
「いや、してないからね!?」


朝から不機嫌MAXの高杉。取りあえず高杉の上から降りて、事情を説明する。






「えーっと、まず高杉が起きたら…銀時が抱き着いちょったんじゃな?」
「そうだキモイ」
「ちょ、キモイやめよう?リアルに傷付くから銀さん」
「だが俺達は…床とソファにそれぞれ寝かせたぞ?なぁ坂本」
「おぅ」
「…あのー…」




控えめに銀時が挙手をする。その銀時をすかさず辰馬が指名した。




「あのぉ、銀さん…ある癖があってね?そのせいかな…と思うんですが」
「「癖?」」

「いや…あの…」
「あぁ、わし知っちょる抱き癖じゃろ?」
「うわあああああ!!なんで言うかな辰馬あああ!!」


桂と高杉は頭に?を浮かべ、辰馬を見遣る。銀時は顔を真っ赤にしてしゃべりだした辰馬にドロップキックを繰り出した。キックは見事辰馬にクリーンヒット。


「い、痛いぜよ銀時〜」
「おまっ、痛いのは俺!醜態をさらした俺!お前に癖をバラされた俺ーッ!!」
「む。銀時、貴様抱き癖があったのか」
「〜っ…」
「へぇ…、なかなか可愛らしい癖じゃねぇかァ…」


辰馬は脇腹を摩り、桂はふむふむと銀時を見、高杉はまるで弱みを掴んだかの如く、ニヤニヤと笑みを浮かべている(まぁ、実際弱みを握っているのだが)。


「お前らだけには知られたくなかった…!出来れば辰馬にも知られたくなかった!」
「アッハッハッ、残念じゃの」
「元凶はテメェだボケッ!」
「あでッ」


取りあえず銀時は辰馬にもう一発。
朝から騒がしい4人組。台所からは何故か焦げ臭い香りが漂う。




「ん、なんか臭くね?」
「焦げ臭い…」
「……………………あっ」




桂が焦りの表情を浮かべて台所へ直行した。銀時、高杉、坂本がそろそろと着いていくと、無惨な姿の秋刀魚。


「すまん。秋刀魚を焼きっぱなしだった」
「ちょ、マジで秋刀魚!」
「4匹買っちょったろー」
「3匹焦げてしまった」
「ヅラァァ」
「も、もとわといえば、貴様らが騒ぐのが悪いのだ!」
「俺らのせいかよ!つーか高杉じゃね!?」
「テメェの抱き癖のせいだろーがァ!!」
「うわああああ!!言うなバカ!!」
「バカはテメーだ天パ!!」
「天パ関係ねぇだろ!?」
「るせー!俺の秋刀魚どうしてくれンだよコラァ!!」
「俺だって秋刀魚食いたかったわボケ!!」

「あ゙ー、もう五月蝿いぜよ!!」


ゴツン

ゴツン


辰馬のげんこつが2人にクリーンヒット。

銀時と高杉、悶絶。


「ふぬおぁぁ…!」
「地味に痛ェ…」


辰馬はしゃがみ込み、床で悶絶する2人の頭をガッシガッシと撫でる。


「…ほぃたら、外行くか?」
「まだ外食か坂本」
「おん。今日は銀時と高杉の奢りぜよ」
「「はぁぁぁぁあ!!!?」」
「おまんらがやいやいやらんかったら、秋刀魚は無事に焼き上がっちょったぜよ」
「でも、それとこれとは…」
「そうだ!話が違うじゃねーかァ!」


すると、辰馬がにっこりと微笑んだ。それを見た途端に2人は鳥肌。なんてったって普段優しい辰馬だ。怒るとそれはそれは恐ろしい。


「…なんじゃー…文句あるがか?」
「「い、いえ…滅相もない」」

「(さ、坂本は絶対に怒らせない様にしなければ…)」




桂はそんな事をふと思ったそうな。










お父さんには誰も敵わない。



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