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幸せアシンメトリー*St.V.キッド



「ソウル、ブラスタ、はいこれっ!」


「おう、サンキュー」
「ひゃっはぁぁ!ありがとな!」





「……で、キッドはどこ!?」















 幸せアシンメトリー














どーも、あたし、アリス。死武専で斧職人やってます。
ついでに死神様の息子、デス・ザ・キッドの彼女もやってます。



今日は2月14日、バレンタインデー。

ソウルにもブラスタにもチョコ作ったけど、それはもちろん義理!


本命チョコは大好きなキッドのためにスペシャルなチョコケーキ作ったの。




なのにどこを見渡してもキッドはいなくて。


分かってる、分かってるんだよ、大体は。

キッドって何気にモテるからさ。



どっかに呼び出されて、そこを他の女の子に見つかって、いつのまにか回りに人だかりができて、動けなくなってるんだろうな。




そうと分かったら片っ端からキッドを探すしかない。


意気込んで教室のドアを開けようとするとあたしが力を入れる前にすんなりとドアが開いた。






「…キッド?」


「アリス、まだ教室にいたのか。探したぞ」





開いたドアの向こうにいたのは探しに行こうと思っていたキッド。


女の子たちからチョコをもらっているであろうと思っていたのに、手には何も持っていなかった。







「アリス、ソウルとブラックスターが持っているのは何だ?」


「え、あ……チョコ。あたしがあげたの」


「何?…俺はもらってないぞ」


「うん、だからね、今「俺にはないのか?」


「だから「何であの二人にはあるんだ?」






キッドがあたしの両肩をつかんで揺さぶる。


あ、頭がくらくらする。ていうか、手に持ってるチョコケーキも一緒に揺れてる。





「あ、危ないでしょキッド!」


「え?」


「チョコケーキ、これキッドのだよ、バカ!!」





持っていたチョコケーキの箱をキッドの胸に押し付ける。


あたしの突然の行動に、キッドは急に静かになって箱を受け取った。






「これ、ソウル達のとは違うぞ」


「そうだよ。キッドにだけ、特別にチョコケーキ作ったの!なのに、」





キッドが開けた箱の中には形の少し崩れたチョコケーキ。






「なのに、崩れちゃったじゃん!せっかく綺麗にシンメトリーだったのに…、バカキッド!」


「アリス…、すまん」






キッドがしゅんとした顔でチョコケーキを見下ろす。

その顔が何だか可愛くて、呆れとか通り越して笑ってしまった。






「アリス?」


「冗談だよ、怒ってないっ。形崩れちゃってごめんね」


「……アリス、」






キッドはチョコケーキをそっと手近な机に置くと、あたしを抱き締めた。





「すまん、アリス…」


「いいってば、」


「……、ありがとう」


「うん、帰って一緒に食べようね」




にっこり笑って背中に腕をまわすとキッドの腕の力が更に強くなる。




「おーい、ここ教室って分かってるかー」


「分かってるよ、」




顔を上げてソウルに言えば、ソウルは得意のニヒルな笑みを浮かべていて。


チョコケーキなんかよりも甘い甘い幸せな気分に包まれた。











 幸せアシンメトリー
(誰からもチョコもらわなかったの?)(断ったんだ)(何で?)(アリスのがあればそれでいいからな)






教室で抱き合わないで下さい←

20090214 C

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あきゅろす。
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