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世の中甘くないってことです*アレン



「待つさー、マリアー!」


「おい、テメー、逃げんじゃねえ!」


「いやー!!」




後ろから追ってくる鬼達から必死に逃げる。


いや、何で逃げてるか、ってそれには色んな理由があるわけですよ。

ちょっと今はそれどころじゃないから待っててね。




「……!」




そろそろ疲れてきたあたしは周囲の部屋の並びを見てあることに気付く。

(あの角を曲がって、しばらく行けば…!)



あたしは頭に描いたルート通りに走り、目標の部屋に飛び込んだ。




「マリア!?いきなりどうし「しー!!」




驚いた様子の部屋の住人の口を塞ぐ。
しばらく息を殺していると、騒がしい声と足音が部屋の前を通りすぎていった。




「はあー、よかった」


「い、一体どうしたんですか、マリア」




あたしは戸惑った様子の、目の前の彼――アレンに苦笑いをしてみせた。




「ちょっとね、ラビと神田にイタズラしたら追いかけられちゃって」


「イタズラ?」


「そう。図書室で居眠りしてたラビと、鍛練後に一眠りしてた神田の顔に落書きしたらバレちゃったんだ」




えへ、と言うとアレンが呆れたようにため息をついて、笑った。




「その落書き、ちょっとだけ見てみたいかも」


「中々いい出来だったんだよ?あたしも見せてあげたかった」


「……それで、たまたまここに来たんですか?」


「ううん、アレンの部屋を目指して走ったの」




アレンが不思議そうに首をかしげた。




「何でまた、」


「アレンに匿ってもらおうと思って」


「匿う?」


「うん、アレンなら優しいから大丈夫かなーって」


「……優しそうに見えますか?」


「え、」




頭で考える間もなく反転する視界。

目の前にはアレンの綺麗な笑顔。背景には天井。


……お?この体勢はもしや?




「ア、アレン?」


「僕だってタダで匿ったりはしませんよ?」


「ち、ちょっと、何言って」


「それなりの見返りはもらったっていいですよね?」


「ア、アレ…」




あたしの言葉は最後までつむがれることはなくアレンに飲み込まれる。




「ごちそうさまです」




何が起こったのか理解した頃には、アレンは顔を離してにっこり笑っていた。




「な、何して…、」













 世の中甘くないってことです
(だからってキ、キスしなくても)(したかったんですよ)(え?)(マリアが好きだから)








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20090601 C

お題「優しそうに見えますか?」
:確かに恋だった

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あきゅろす。
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