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A
☆☆☆
とある街の小さな保育園。
その保育園の名前は八神保育園。
ちいさな子供達みんなの元気いっぱいな声が聞こえます。
たまに、やんちゃも、ケンカもするけど、みんな仲良し。
そんな物語。
今回の主役も、
フェイト・テスタロッサ・ハラオウン こと、フェイトちゃんのお話。
彼女は今年5歳になる年中さん。
そんな彼女は恋をしています。
恋している相手は、高町 なのは という厳しくも優しい先生。
なのは はまだ正式な先生というわけではありませんが、学校が終わるとすぐ保育園へと行く、つまりはお手伝いさん。
おや、どうやら今日はフェイトちゃんとなのは先生が追いかけっこをしているみたい。
さぁ、さ。
どうなるかな?
☆☆☆☆
EP.2
―――――――
愛の鬼ごっこ。
―――――――
「まって、まってってば、なのはせんせ!」
『ほら、捕まえてごらんフェイトちゃん!』
灰色の砂場に、キラキラと輝く二人。
周りは、青い象やパンダが子供達に遊ばれ、きゃっきゃっ楽しげな声。
揺れる木々が……………。
「ここは、保育園です。」
『どうしたの、アリサちゃん?』
そう受け答えをする、アリサとシャマル。
彼女達はここをお手伝いする先生。
アリサことアリサ・バニングスはなのはと同じ中学校を通う同い年。
シャマルは子供達を見るドクターさん。
「いや、なんかあたしが突っ込まなくちゃいけない気がしたの…!」
『?』
外ではみんな元気で楽しそうに遊ぶ中、異質な空気を纏う二人組がいる。
それが、なのは と フェイトなのだ。
「っと、そんな事言っている間にそろそろ帰る時間帯ね…!」
『そうね、じゃあアリサちゃん、いつも通り集合お願いしても良いかしら?』
「はい、任せて下さい。」
そう頼もしい笑みを見せるアリサに、シャマルは小さく手を振った。
外に出てすぐに、アリサは周りを見渡してそしてとても良く通る声で叫んだ。
『みんな、帰る準備するわよー!』
そう叫ぶと共に、わー。っと声を上げながら次々保育園の中にある教室へと帰って行く。
そんな中…
「なのはせんせ、つっかまえーたっ!」
『あー、捕まっちゃった、フェイトちゃん。』
とある二人は今でも鬼ごっこをしていた。
しかも捕まえたご褒美か何かは知らないが、いきなりフェイトの頬に唇を寄せるなのは に、アリサはア然としながらも、今にでも起きそう頭痛を手で抑えため息を吐いた。
「じゃあね、こんどはフェイトがにげるね!」
『うん、なのは先生頑張ってフェイトちゃんの事捕まえるよ!』
「なのはせんせがつかまえたらね、わたしのたいせつなもの、ぜんぶあげるね、」
『…ぜ ん ぶ?』
「うん!」
「っ…?!」
その瞬間、ザワリ。となのはの雰囲気が変わった。
遠くにいる為、会話は全く聞こえないが、長年の付き合いのアリサはどうやらすぐに何かを察知し、走り出した。
「じゃあ、行くよー!」
そう無邪気な笑顔で走り出したフェイト。
だがその後ろでは邪心に満ちたなのはが色々な意味を持った笑みで追いかけ始める。
始まってすぐに、なのははフェイトに追いつき手を伸ばす。
5歳と15歳。年はもちろんだが、なんといっても身体の成長度合いが違う二人にとって、優位の差は歴然としている。
「つーかまえっーた!!」
フェイトに触れるまさにその瞬間。
「バニングスキック!!」
まさに弓から放たれた矢如く、アリサの見事なまで飛び蹴りがなのはに当たった。
プロレス技で言う、ドロップキックという技だ。
しかもただのドロップキックではない。
なのはが、走って来た側とは真逆の飛び蹴りな為、カウンターも入っている、色々な意味で究極とも言える飛び蹴りなのだ。
技を受けた、なのはは綺麗に宙を7、8回転回ったあと、どさり。と重々しい音をたて落ちた。
『…っ、まだだよ…!』
「………………。」
『負けないんだから…だって…!』
あちこち擦り傷をおい、額からは微かに血を流しながらも、なのは は、立ち上がろうとする。
そして震える足に葛をいれるように、拳を膝の上で握り、口元をもう片方の拳で拭うと、なのはは叫んだ。
『フェイトちゃんの、大切な全部があるんだから…!!』
「なのはせんせ…!」
「なのは…あんた……」
『フェイトちゃんとの貞そーっ!!』
「このっ、バカ!!」
その言葉の先は紡がれる事はなかった。
見事なアリサのチョップが、なのはの頭上を直撃したのだ。
今度こそぐったりと倒れた、なのはに、フェイトはアリサに聞く。
「ねぇ、アリサせんせ?」
「…なに?」
「ていそっ。ってなに?」
『悲鳴よ。気にしないで、忘れなさい。』
「わかった!」
アリサの足元に沈む、なのはにもう一度叩くと、フェイトを連れていったのだ。
「はーい、みんな帰るよー。」
今日も八神保育園は平和です。
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