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優越感に浸る(夜昼)






ふさふさしているものというのは傍目から見れば、たいそう気持ちよさそうだ。それに埋(うず)まりたくなる。そうだ、効果音をつけるなら、もふもふ辺りがピッタリかもしれない。


「口、引っ張ろうか」
「わーわー考え読まないでー!」


引っ張られてしまい、頬が微妙に痛くなる。抵抗したが夜の僕の前では何の意味も成さない。例えるならアリが猫に立ち向かうくらい絶望的だ。


「実力行使はんたーい」
「なら失礼な効果音をつけるんじゃねぇよ」
「思想は自由なんだー!」


現代日本における主張を掲げてみるも、彼はどこ吹く風である。俺にそれは関係があるのかい、の一点張りだ。確かに彼は人知を超える存在ではあるが(これが僕というのだから驚きだ)、だからといって人間界における掟を破るのは如何なものだろうか。


「気にしてたら、そのうち禿げるぜ」
「いつの話だよ…!」


悠々と生きる彼は笑うと僕の額を小突いた。


「だけど禿げんじゃねぇぞ、俺はお前なんだ」
「…なら言わないでよ」


しかし保証は出来ないと思う。少なからず遺伝子が伝わっているのだから。何十年も後の自分であるかもしれない姿を思い出し、息を吐く。
正直、怖い。


「どちらにしてもさ、君の髪が無くなるは嫌だなあ」


こんなに気持ち良さそうなのに。
なんて続けると、呆れられてしまった。そんな顔をしたらせっかくの二枚目が台なしだ。しかしこんな表情は僕しか知らないのだ、と思うと身体が興奮に包まれる。ああ、なんて幸せ。


「リクオよ、お前の思考は理解に苦しむぜ」
「そうかな。僕には君の方が分かりにくいよ」


こんなのただの屁理屈だ。誰だって自分の意見が最上のものである。相手の考えなんて賛同出来る方がまれなのだ。ああ、出来るはずもない。


「あ、さらさら」
「おい、」
「気持ちいいや」


了承も得ずに彼の髪に突撃した。その長い髪を首に巻き付けたり、鼻を擦りつけてみたり。そのとき彼の匂いが己の全身をつつんでいく。唯、気持ち良かった。


「ふわふわ、してないね」
「…当たり前だろ」


夜の僕は困惑しつつも、僕が彼の髪を弄んでいるのには何も言わなかった。だから僕はさらに気分が高揚してしまう。幸せ過ぎて、どうにかなりそう。

だがそれもすぐ、現実に戻されてしまった。彼にまたもやおでこを弾かれたのだ。

顔が見えない。だからその真意が分からなくて、あ、泣いてしまいそう。


「…髪ばっかし触ってんじゃねぇよ」


でもそんな拗ねたような不満そうな声音が聞こえたものだから、僕は今度は彼に抱き着いた。顔を見たらやっぱり拗ねていて、笑ってしまったのも、きっと仕方がないこと。








****

甘いギャグでしょうか。
分別に困るのばっか書くろうです。…詮なきこと。←え

正直変化した後は後頭部がながくなっているとは思いますが、私的には若いころは只の髪の毛であってほしいです。

ってか夜大好きな昼でした^^



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