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理由はまたいずれ(昼+夜)






朝は素敵で、素晴らしい。なるべく規則正しく生活するためにも夜明けとともに目を覚ますようにはしているから、ふと綺麗な朝日に目が行くときもある。そんなときは目を細めて笑ってしまう。余りにも神々しいから。そして同時に安心もするのだ。また今日という日が迎えられたということに、酷く安心するのだ。




夢の中の誰かは言う。


『オメェはいい加減認めたらどうなんだよ』


あの枝垂れ桜に寄り掛かり不敵に笑うそのヒトは闇夜に紛れてひっそりと笑う。


「何のこと…?」
『ふん…それは自分で気づけよ』


おちょこに注がれていた恐らく酒であろうものを傾けてそれを見つめている。もし己に才能があるならば今のひと時を切り取って表したくなるだろう。それだけ絵になるほどとても儚げだったのだ。風は強かったが、優しく彼を包んでいた。

夢のヒトはまたも続ける。


『知らねぇだろうが、"存在"なんてもんは認めるからこそ成り立つんだぜ』
「だから何を、」
『俺を、』


他の追随を許さない、揺るぎない声に遮られ、定まっていなかった焦点がそのヒトの瞳に合わされる。信念と自信を持ち合わせた瞳だった。僕とは大違い。


でもその瞳は揺れていた。

今にも散りそうな程に―――……まるで後ろの桜のように揺らいでいた。



『俺を生かすも殺すも、お前次第なんだよ』


なんで僕なんだ。
なんで関係しているんだ。
なんで寂しそうなんだ。
なんで…そんな目をするんだよ。


「君はいったい誰なの?」
『…それも自分で見つけて来るんだな』


木々がざわめく。桜の花びらが舞っていた辺りに徐々に光が差し込んでくる。夜の帳が開かれ始めていた。
ああこの夢もいずれ醒めるのだろう。朝が、やってくるのだから。闇は、存在できないのだから。


『恐れるな。そして信じろ』


さあ終わりだ、と知らしめるように風が荒々しさをさらに増して吹き荒れた。彼が、隠れていく。紛れていく。


『自分を信じるんだ―――……リクオよ』
「っ!なんで、僕の名前をっ!」


しかし返事は無く、身体が落ちていく感覚に囚われていく。あとは瞼を持ち上げれば、夢ともおさらばだ。

それでも目が覚めて光と向きあわなければ怖かった。

あの人のことが夢のように思えないから。闇に溶け合うあの夢の人のことを思うと身体が震えるのだ。夢ならば嘘なのだ。現実にしてはいけない。本当にしてはいけない。


(僕のせいで、誰かが消えるなんて)


でも彼を思い出すと、何故こうも血が滾るのだろうか―――……。
安心した胸の内に一つの爪跡が残っていた。






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突発文!覚醒前ネタ。
こういうシュチュは非常に好み(*´∀`*)








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