空の下
「こんにちは!木ノ葉急便だってばよ!」



【空の下】



扉を開けば飛び込んでくる金髪と人懐こい笑顔。外の蒸すような空気は不快だが、彼のその姿はそんな気分も吹き飛ばしてくれるようだ。

「あんたねぇ、お客様に“だってばよ”はないでしょ。別に私はいいけどさぁ」
「大丈夫だって。いつもはちゃんとしてるってばよ」


彼はうずまきナルト。木ノ葉急便でドライバーとして働いていて、日々忙しくこの地域を駆け回っている。ちなみに高校の後輩でもあり、社会人となった今でもよく連絡をとる仲だ。


「とりあえずハンコかサインくれってばよ」
「もちろん!待ってたのよコレを!」
「今度は何だってばよ。またワケありで安いってやつだろ?」
「今回はねー、エビよ!」


重い荷物は玄関先に置いて貰い、適当に会話をしながらサインをする。その間も夏独特の熱気は遠慮なく纏わりついてくる。こんな気温の中トラックで仕事だなんてとぼんやり考えていると、そうだ、と思い出したようにナルトが声を上げる。


「ネジは元気か?」
「ネジ?あぁ、うん元気よ。でも最近暑くなってきたからね、そろそろバテ始めるわよ」
「はは、そうかぁ」

けたけたとナルトは笑う。


「先月みんなで集まろうって話あったろ?あれ結局集まり悪かったんだってばよ」
「そうだったの?」
「お前ら二人と、いのと、サイだろ。あとチョウジもだってばよ、締め切り近いからって」
「ふぅん、やっぱみんな忙しいのね」


彼のセリフに出てくる名前はみな、最近忙しくて会えていない友人たち。学生時代と違って、それぞれが仕事を抱えてるんだから仕方ないけれど、やっぱりみんな大人になったんだなとなんだか実感してしまう。

「今度はちゃんと皆で飲みに行きてぇよなぁ」
「そうね、私もなんとか予定合わせるわ」


控えの用紙を私に渡したあと、キュッと木ノ葉のマークが刺繍された帽子を被り直し、ありがとうございました!と締めの一言。


「じゃ、また近いうち連絡するってばよ!」
「うん、りょーかい」



元気な背中が駆けていくのを見届けたあと、ふと空を仰いでみる。みんな頑張ってるんだ、見えない彼らを思い出しながらそう思う。

「私も頑張んなきゃね」


からりと晴れた空がとても気持ち良かった。


fin


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あきゅろす。
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