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一粒の欠片



これでもか!というほど脚を動かし疾風の如く駆け抜けている俺の名前は楠木 榎緋[クスキ カイ]ここ鐘星学園の2年生だ。


今はエロホスト教師南狩 雅也[ナガリ マサヤ]様がわざわざ忘れてくださった教科書を取りに教務室に向かっている。


ちなみに、教室は4階の南端に位置し階段と別校舎を繋ぐ渡り廊下は真反対のところにある。
その分、目的の教務室は一階まで降りて渡り廊下を渡ったすぐの所にあるのだが


だが、その道のりをたった数分で行ってこいと仰られるのは、就職先を間違えたであろうホスト系18禁顔の通称エロホスト様だ(俺が勝手に読んでるだけ)


ほんと、俺の何が引っ掛かったのか知らないけど毎時間俺をこき使ってくれる。

それもメチャクチャな条件付きで


他に喜んで雑用こなす奴らがいるだろうに。
どうして、こんな俺を的にするのかわからない。


別に自己否定がしたいわけじゃない。そんなにマイナス思考じゃないもん


ただ、今の俺ははっきり言って“暗い”
長い前髪で顔が半分隠れ、その上決してオシャレとは言えない黒縁メガネを掛けている。


自分でも、うわぁ…と引くほどに。
最近になってようやく慣れてきたところだ


そんな俺が、教師の中でダントツに人気があらせられる南狩ホストに目をつけられたのかは大いなる謎だ。


こっちの身としては理不尽なまでの雑用事はしんんどいし、いたる奴らの視線は痛いし、何よりも目立ちたくない!


「どうしてだよ!!」


少しの怒りに任せ、残り数段あった階段を一気に飛び降りた。


これが拙かった。





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