一粒の欠片
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どうでもいい周りの声はほっといて…
このアーチを抜けると食堂だ。
その証拠に・・・・ん〜いい匂いww
ますます、腹の虫が鳴るってもんだ
そりゃそうだよな。一流のお抱えシェフがランチを作ってくださってるんだから。
和洋中なんでもござれだ。
さすが、お坊ちゃん学校。普通の高校じゃ夢のまた夢。ハンバーグに海老フライとグラタンが一緒に付いて来て200円です、ってぐらい。
でも、お坊ちゃん学校なんだしお抱えシェフぐらい想定済みだ。
一番の驚きは・・・この建造物。
アーチを抜けたから見える食堂とは思えない食堂。別の名を“教会”
転校してきてから1ヵ月、毎日学食で通い続けているわけだけど教会にしか見えない。
しかも、そん所そこらの小さい教会じゃなくてヨーロッパ辺りにありそうな堂々とした立派な建築の教会堂。
だってさ、食堂にステンドグラスはギリとしてもマリア像とか燭台とか天使の画とか、普通いらないだろ?
だって、ここは祈るとこでも懺悔をするところでも無い。
15〜18の青少年たちが空かせたお腹をおいしい食事で満たすところだ。
普通を求める俺が悪いって?
いやいや…金持ちだからって、金掛けるとこ間違ってんだろ。
「無駄だ…」
「また言った!榎緋の口癖だよな、それ」
俺の一言に瞬時に反応する葵。
なんだか、言うことがわかってたみたいだ。
「口癖っていうほど言ってないと思うんですけど」
そう、数えるぐらいしか・・・
「無自覚」
幸汰が覚めた目でこちらを見てくる。
うっ…
俺ってそんなに、この言葉言ってんのか?
え、まさか・・・あの“ふぁい”って言葉も・・・
気づいてないだけで、驚いた時の返事はあれか?あれなのか?
もんもんと考え込んでいると両隣りからクスリと笑いが零れる音がした。
「ごめん、そんなに悩むとは思ってなかった」
「軽い冗談だ。榎緋、そんなに言ってない。」
ぽかんとする俺にまた二人はクスクスと笑う。
どうやら、からかわれたみたいだ。
「本気にしたんですから!」
「悪かったって」
ほっと、胸を撫で下ろす俺だったが次の幸汰の言葉で今後あることに気をつけることにした。
「でも榎緋、思ったこと口に出す時がある」
とんでもない情報だ。
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