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一粒の欠片
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「とか言いつつ、心配そうな顔をしていた」


ニタニタと笑っていた葵の顔が固まった


「いや、それはちが「葵、嘘はいけない」…はい」


あたふたと慌て出す葵にトドメの言葉をかける幸汰はまるで兄弟みたい

しゅん…と、うなだれた葵にぽんっと肩を叩いた


「葵、ありがとうw」


…危ない…アッパーかけるところだった


寸でのところで幸汰が言ってくれなかったら葵、飛んでたかも…
なんて物騒な事を考えつつ、きちんと礼を述べた



あのクラスで心配してくれる奴なんかこの二人以外いない
あとの奴らは嫌悪か素知らぬ顔


転校してきたその日から、俺は一人
この恰好が悪かったみたいで、地味で不細工な奴は寄るな触るな視界に入るならしい


そんな中で唯一声をかけてくれたのが、葵と幸汰だった。
それが、どれだけ嬉しかったことか
どれだけ励みになったことか

俺にはやらなくちゃいけない事があるから、絶対に学校をやめないけど、それでもあの空間で学校生活を送ることは地獄にも等しかった
それを打ち消してくれた


たった二人だけど、その二人が何よりも心強かった。何よりも暖かかった


一ヵ月。まだ一ヵ月しか2人の事は知らない
でも・・・
大切だと思うことに時間なんて関係ない



にこりと俺の最高級の笑顔を浮かべる
ありがとう。ありがとう。

目頭が熱くなった気がするけど、気のせいにしておこう




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