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一粒の欠片


ガラッ!!!!

「と…ハァ…取ってきま…した…」

授業中の学校を爆走して息をきらした俺は体全体で息をしながらも教室に入った

走ってきていた音が聞こえていたのか、突如派手な音を立てて扉が開いた事にクラスの奴らは驚きの顔はしておらず、行きしなと同じ鋭い視線のみ俺に投げつけていた。


『戻ってきたよ』
『先生がワザと追い出したって事に気付いてないんじゃない』
『マジうざい』
『消えろよオタク』


なんか聞こえるけど、いつものことなので無視して、エロホストのいる教壇に向かう

…あれ?

「なんで、あるんですか?」

もちろん、出席なんか取り終わってるハズだから出席簿を持っている筈はなくて、でもエロホストの手元を見ると何かしらの本を持っていて…

どうみても現国の教科書だ。
言っておけば、エロホストは現国の教師だ。似合わないにもほどがあるだろ。

「お前のだから」

ぱたん..と俺のだという教科書が乾いた音をたてて閉じられる

「俺の?」

「教科書がなきゃ授業できないだろうが。ほらよ」

俺が汗水かけて取ってきたこいつの教科書と俺のが交換される。

そして、一言

「んじゃ、席に着け」


授業…確かにすぐ横のホワイトボードにはどうでもいい筆者の思いについて…とか書いてあったりするし、どう感じ取っても俺を待っていてくれたなんていう優しい雰囲気はこの教室から感じ取れない。
手元を見ると、空しい俺の教科書
エロホストの手元には俺の汗の結晶
なんだろう、この報われない気持ち・・・

ていうか、何回目?

俺がしばし呆然と立ち尽くしていた事になにをどう取ったのか知らないけど、さすがエロホスト

「どうした?惚れたか?」

なんてかましやがった

「…んなわけねぇだろ
毎回毎回扱き使いやがって!てめぇは礼の一つも言えねぇのか!!」

なーんて言えるはずもなく、俺はなんでもないですと言うと向きを変えた

相手にしてられない




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