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一粒の欠片



「み…君!……楠木!」


「ふぁい!!」


「え?」



またもや意識を飛ばしていた俺が悪い
でも・・・だからって「ふぁい!!」って…
ないだろう俺!

ハズすぎる
コイツの目も点になっているし


「す、すみません///」


顔が熱い
赤くなっている証拠だ
コイツが声はあげないでも笑ってくれてるおかげでもあるけど
恥ずかしさ倍増だし


それにしても笑いすぎだ
一時の照れが収まったころ未だに笑ってくれている奴を見て思う。


当然俺の目が険しくなる
見えるかわからないけどとりあえず睨んでみる


「ご、ごめん…クッ」


どうやら、伝わったみたい
でも、笑いを引っこめようとするのが仇となったのか一層ひどくなっている

それ、わざと?ムカつくんですけど
とは、言わないけどさ





「……もう、いいですよ」


引き攣りそうになる口元と手元を抑え溜息を吐く


だいたい、いつもなら笑っても微笑を浮かべるだけだった筈なのに、なんで今は涙を浮かべてまで笑ってるんだ
そんなにツボったのか?


怒っていいのか
喜ぶべきなのか
笑いすぎでムカついてんのは本当だけど


「ふぅ...笑ってごめんね。でも、ふぁいって…フッ」


落ちついたかと思ったのに
最後の小さな呟きを俺は聞き逃さなかった


「も、もう忘れてください!」




忘れないなら鈍器で殴ってやる
大丈夫。ちょっとやそっとでは死なないから

俺の不穏な空気を読んだのか今度こそ本当に笑いを収めてくれた


「…笑いすぎですよね。反省します」



そういった直後、灰羅の目が厳しいものに変わった


「で、どうして君はこんなところにいるのかな?授業中のはずだ「ああ!やっべ!すいません失礼します!」


俺は飛び上り固まるソイツを放置してその場を全速力で離れた

このまま話していると昔の感覚で反応しそうとか馴れた呼び方で呼んでしまいそうとかで怖かったのもあるけど


なによりも、アレだ


エロホスト南狩 雅也様の鉄拳を頂くことになる。
愛なんていう甘くて優しいものなんか微塵にも1ミクロにも感じられない鉄拳を…





神様、俺はそんなものほしくはありません。









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あきゅろす。
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