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「オレの髪ってなんでこう…」


くせっ毛なんだろう。
風呂上がりなのにもかかわらずつんつんな自分の髪を見てそうつぶやく。びしょびしょの髪にクシを通しても一向につんつんのままだ。


「乾かし方が悪いのかな…」


鏡とにらめっこしながらひとりつぶやいていると、10代目、と洗面所に獄寺くんが入ってきた。


「獄寺くん」
「どうしたんすか?」
「いや、ね」


オレってくせっ毛でしょ??乾かし方が悪いからこうなるのかなあって考えてたんだ。


蜂蜜色のオレの髪を、親指と人差し指でつまみながら答える。


すると。


「じゃあ今日は俺が乾かしてさしあげます!」


ぐっと沢山のリングに飾られた右手を握りしめ、にこにこしながら獄寺くんがそう言った。


…突拍子もない。


「いやいやいやいいよ!自分でできるし!」
「まかせてくださいって♪」


…ひとの言ってること聞こうか獄寺くん。
さっそくドライヤーとクシをセットしだす彼。やる気満々。お顔にこにこ。オレたじたじ…。


「さっ乾かしますよー」

言うなりすでにコンセントが挿されたドライヤーのスイッチを押す獄寺くん。熱風がオレの頭にかかる。器用に左手でオレの髪にクシを通しながら乾かしていく。


…鼻歌なんか歌っちゃってさ。そんなにオレの髪乾かすの楽しいのかな…。


「10代目の髪さらさらですね」
「えーそうかな?」
「そうっスよ!クシが全く引っかかりませんもん」


確かに、あんまりクシに髪が引っかかった記憶かないかも。


「でもくせっ毛だもんなあ…」


つんつんつんつん。上向きなオレの髪。はあ、とため息をつくと、そうスか?と獄寺くんが口を開いた。


「俺は好きっスよ、10代目の髪。確かにくせっ毛ですけど、そこが10代目のいいところなんじゃないスか?10代目にぺちゃんこな髪型なんて似合わないっスよ!」


10代目は10代目のままがいいです!
なんて。そんな恥ずかしいことよく言えるよね…。言われたこっちが恥ずかしくなってきた。


だけど、そう思いながらもどこか喜んでるオレがいる。なんかくせっ毛のことなんかどうでもよくなっちゃった。だって、獄寺くんがそう言ってくれてるんだもん。


そのままのオレでいよう。


そう心の中で決断したとき、ドライヤーのスイッチが切れた。









そのままの、




















20091221.

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