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※デンパっぽい文
 ちょいシリアスです


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ふと、水彩絵の具用のパレットが目に入った。小学生のころからずっと使っていたやつだ。洗っても取れなかったのか、パレットにはうっすらと絵の具の色が所々に残っていてどこか黄ばんでいる。


僕はそのパレットを手に取り眺めているうちに、何故か絵の具をいじりたいという衝動にかられた。


絵の具は押し入れを少し探せばすぐに見つかった。水入れはなかったので、手頃なコップを使うことにした。絵の具で汚れるかもしれないと思ったが、どうでもよかった。


パレットを開き、筆を水で濡らす。僕はおもむろに黄、赤、青、緑、黄緑色、朱色、紫色といった白と黒以外の色の絵の具をすべてパレットへ少しずつ出し、それを全部混ぜ合わせた。混ざった色はなんとも言えない汚い色になる。そこへ黒をほんの少し加えた。が、少量すぎたのかあまり色に変化は見られない。筆が水気をなくしてきたので、もう1度コップの水に筆を浸してから今度は黒をたっぷり加えた。すると、絵の具はちょっと濁ったような、決して純粋ではない感じの黒色になった。


これが、僕の心。僕の心の出来上がりだ。


「僕の心」を一旦放置し、その隣に赤の絵の具を絞り出し、水をたっぷり含んだ筆で溶かした。それにさらに黄色を加えると、絵の具の割合がよかったのか綺麗なオレンジ色ができた。水が多かったせいかさらさらしている。


だが、僕はなぜかその色に納得がいかなかった。だからもう1度その綺麗なオレンジに赤をどっぷりと加えて筆でガシガシと混ぜ合わせた。筆をコップの中に浸さなかったので、水の量が足りなかったのか、ねっとりとした朱色のような赤が完成した。


そうだ。この色だ。パレットの赤を見ながら僕はうっとりする。これで渚の心も完成した。


だが、赤の隣には小汚い黒。黒に黄色を混ぜたような、はたまた灰色を混ぜたようななんとも不愉快な色。


腹立たしくなった僕は渚と僕をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせ、できた色をまたうっとりと眺めた。










えのぐあそび




















20100102.


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