GIRLs@研究所 ページ:2 Girls @ 研究所 「李来、おはよー」 「伽衣…おはよう」 ………朝 学校正門前……… 「どうしたの?今日は珍しく早いじゃんかっ」 私は歩いている李来に追いつき、横に並ぶ。 「今日だけではない。これからは遅刻魔の醜聞を返上できるかもしれないな。」 「え?どういうこと?」 李来は聞きたいか、と目で言った。 「何、話して?」 私は李来を促した。 ★★★★★★ ………早朝……… 「お早うございます、李来お嬢様。」 私はいつものように、起きてから直ぐに稽古着に着替え、稽古場に行く。 「あぁ、お早う。」 途中フミ子さんと挨拶を交わして。 …龍はまだ布団に居る筈だった。 なのに… 「李来様、お早うございます」 私が稽古場の戸を開けようとしたその時、真横からひたっと龍が現れた。 「ろ、龍!!い、いつから…」 「ずっと李来様の背後に…。」 じんわりと背筋に悪寒を感じた。 は、背後…? 私としたことが…全く気が付かなかった…。 「ワン!!」 「あ、薫(カオル)!」 鳴き声のする方を見れば、稽古場の入口に、薫が来ていた。 私はいつものように、薫を稽古場へ入れようと扉に手をかける。 「李来様!!」 「え?」 ガッ 薫が私の方へ近付こうとしたとき、龍に腕を強くつかまれ、後ろに追いやられた。 「あの物体は危険です…。李来様に吠えるなど言語道断…。自分が、排除致します!!」 「ちょ、ちょっと待てっ!!」 今度は逆に、私が龍の腕を掴む。 「あの子は、私の大切な家族だぞ!!私に危害など加えたりしない!!」 必死で説得すること2分…。 ようやく愛犬については理解を示してくれたらしい。 薫には何もしないと、しぶしぶ約束してくれた。 「薫っ、来い!!」 龍が何もしないと言ったので、薫を稽古場に呼んでやる。 「ワン!!」 中に入って来た薫を撫でて壁際に座らすと、私は愛用の刀を取り出した。 勿論鍛錬用のものだ、本当に切れはしない。 正坐をし、精神を落ち着けて、集中する。 「はぁっ!!」 −−シュッ 「やっ!!」 −−シュッ 「とぅ!!」 −−−ビュンッ いつもの用に数回構えをとる。 ……しかし、 「……。」 「………龍、お願いだから、私から離れてくれないか?」 「いいえ、それはできません。李来様に何かあれば、直ぐに対処しなければなりませんので」 私が稽古を始めてからも、龍は私の回りについて動きまわるのだ。 私の剣をうまく避けて動く辺りはやっぱりGIRLsだと感心させられるが。 「しかし、それでは稽古に集中出来ないのだ、私が。」 「安心して下さい。李来様の動きに合わせて避けますので、当たる事はありません。」 「そういう問題では…」 「それでは仕方ありません。ではお稽古は中止に致しましょう。」 え? 龍は呆然とする私から刀をとりあげ鞘にしまうと、薫を稽古場から追い出して、私に向き直った。 「行きましょう、李来様」 「………お、お前というやつは…;」 ★★★★★★★ 「そんなことがあったのね;」 「あいつは薫を敵視するし、稽古はさせてくれんし……全くもって不愉快だ。」 「まぁまぁ……龍だって、悪気はないんだし……」 「……朝稽古をしないと、体がすっきりしない。」 「まぁ習慣だったしね…」 「李来ちゃーーん、伽衣ぃーー!!」 「…あ、古都」 振りかえると、肩で息をする古都が。 「また伽衣は…ハァ、先に行っちゃうんだからぁ……」 息を切らしながら、古都は伽衣をギンと睨み付けた。 「あんた待ってたら…何時に学校着けるか分からないでしょ。」 私は古都を無視して再び歩く。 「あーっ!!それって馬鹿にしてない?私のことっ!!」 「別に馬鹿にはしてないけど……アホにはしたかもね。」 「んもぉ〜…なによそれっ!!」 「毎度毎度、暑苦しいわね……あんたってホント」 私たちは睨み合いながら言い合いを続けていた。 「伽衣、古都…喧嘩も良いが、前も見て歩けよ」 「「え?」」 李来の急な言葉に、私たちは後ろを歩いていた李来を振り返る。 −−ゴーン 「「っ〜…!!」」 「だから言っただろ。先に行くからな」 頭を押さえる私たちを、李来はスタスタと追い越していった。 [←*][#→] [戻る] |