GIRLs@研究所
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「なーんか吹っ切れた顔してるわね♪」
「え…?そ、そうでしょうか…。」
笹原さんの説明が終わり、私と笹原さんはお茶を飲みながら、のんびりとしていました。
「何か悩み事が…解決したみたいなねっ。」
「……、笹原さんは、なんでも分かるのですね…。」
「えへへ…こう見えて色々あったからねぇ♪」
「実は私……家の都合で、転校しなければならないかもしれないんです。」
「Σてっ転校っ!?」
笹原さんは凄い勢いで立ち上がりました。
「じゃあ、紺柳学園の通学敷地内から出るってことよね!?」
「えっ?は、はい…そうなります……けど、」
私は尋常でない雰囲気の笹原さんに竦んでしまいました…。
そんな私に気がついたのか、笹原さんは苦笑して座り直しました。
「ぁ……い、いやぁ転校って言うから…ビックリしちゃってねぇ〜あははは…」
「そ、そうですか…」
「でもどうしてこんな時期に?」
「最近になって出た話ではないんです…。もうだいぶ前からあったお話で…。祖父が、私達ではこの家は狭すぎるし不便だから一緒に住もう、と…。でも……そうしたらこの家は……」
「この家は、何か大切な思い出がある家なのね?」
笹原さんは私の言いたいことが分かったようでした。
「えぇ……はい。」
「ふむふむ………で、なんで吹っ切れたのよ?」
「強くなろうって…思ったのです…。実衣さんが、『きっとなれる』って…言って下さって…。」
「それは…実衣って名前を付けてあげた後に?」
「いいえ?その前にです。」
「起動前に人を励ます……か。」
「え?」
「ううん、なんでもなーいよ★」
笹原さんは一瞬表情を曇らせたように感じましたが、気のせいだったようです。
「私、お祖父様に言おうと思うんです……。はっきりと…。」
今までは流されてきたけれど……もう、頷くだけにはなりたくないです…!!
「いいと思うわよ。肉親ですもの、きっと桜ちゃんの言うことも分かってくれるわっ♪」
「えぇ……私もなんだかそう思えます……。」
「なにはともあれ、実衣ちゃんは役立ったわけね。」
「役立ったと言いますか……」
「桜ちゃんの、新たな一歩を踏み出す手助けになった……かな?」
「えぇ……そうですね。」
「もし本当に転校することになったら教えてくれる?所有者リストを書き直さなきゃだから♪」
「は、はい、分かりました。」
笹原さんはお茶を置いて立ち上がりました。
「また明日にでも、GIRLs関係のマニュアル送るわね、連絡手段も用意しておくから♪…それじゃあ私はこれで…」
「桜ちゃーんご飯まだなのー?」
「しょ、梢蕪、お客様の前ですよっ?」
笹原さんが部屋から出ようとされた途端、襖が開いて妹が顔を覗かせました。
私が注意すると、謝って襖をしめました。
そういえばご飯の用意がまだでしたね…。
「あら、今のは妹さん?」
「は、はい……。男の子みたいでしょう?よく間違われるんです…。笹原さん…よく分かりましたね。」
「ふふ…まぁね。…ごめんなさいね、長々と。」
「こちらこそ……。なんだか、実衣ちゃんの我儘も聞いていただいて……」
「いーのいーのっ♪それじゃあ私はもう帰るわね!!」
「えっ」
バビュン
「(き、消えてしまわれました……。)」
幸い襖は閉まっていたので、誰にも見られていなかったようです…。
あ、実衣の我が儘と言うのは、私の妹と弟たちにも、見えるようにして欲しい…と言うものでした。
きっと、実衣は自分だけ無視されるのが寂しかったのですね……。
★★★★★
「桜ちゃん……あの…」
妹の彩芽が、いただきますをした後しばらくしてから、箸を置きました。
「どうしたのですか…?」
「その…」
彩芽は梢蕪をチラチラとみながら切り出そうか迷っているみたいでした。
「じれったいなー、彩芽は。」
梢蕪は大きく長いため息をついて箸を置きました。
「つまり、俺達は本当にじい様の家に住むのかってことだよ。」
「し、梢蕪……」
「なんだよ」
「はっきり言い過ぎです……。」
彩芽がそう言うのも仕方ないでしょう。
私がこの家を大切に思って来たことを、二人はよく知っているのですから…。
「………私は、嫌です。」
口に出してみて初めて、子供じみた言い方だと思いました。
「じゃあどうすんの」
「明日、お祖父様を説得します。」
「桜ちゃん……」
「じゃあ僕たちも連れてってよ」
「えっ?」
「桜ちゃんだけじゃ頼りないからなぁ、僕たちも行くっ。な、柾、栞っ♪」
二人はどう答えるべきか悩んでいるようでした。
彩芽は頼りないと言う言葉をつかった梢蕪を注意しています。
こんな微笑ましい光景は、この小さな家だから見られるのです…。
あんな広いお屋敷で…大きなテーブルで……こんな団欒はできません……。
「…分かりました、みんなで行きましょう。」
「やったな彩芽っ!!」
彩芽は嬉しそうに頷きました。
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