GIRLs@研究所 ページ:8 ………後日……… 数日後、李来は大分回復した叔父さんに面会することができた。 のびている放火犯が警察の前で倒れていたことは、一時ニュースとなり、新聞にも大きく載っていた。 でも、放火犯の言う「竹刀を持った少女」の存在は明らかになっておらず、警察もほとほと困り果てているとか…。 李来の話では、叔父さんはなんとなく気づいてるらしい。 李来が、その少女なんだってこと。 ☆★★★★★★★ 「……。」 開かれた窓からは、カーテンを揺らす優しい風が入ってくる。 私は終司さんのベッド横に座りながら、窓の向こうの空を見ていた。 「良い風だね。」 終司さんは読んでいた本を閉じて、窓の方を向く。 「あぁ。」 「あの日…あの家事のあった日にね、僕は自分で脱出したんじゃないんだ。」 「え…?」 終司さんは唐突に、今まで私が避けてきた話題を口にした。 「僕の足はその時、既に歩けるような状態ではなかった。」 叔父は右足を骨折していた。 フミ子さんも言っていた。 『終司様は…どうやってあの火の海から逃げ出されたのでしょうか…。あの怪我ではとても…。』 終司さんが無事ならそれでよかった私は、その時は深く考えなかったが・・・。 布団から出た、終司さんの釣られた脚を見る。 「僕はね、助けられたんだよ、誰かは分からないけど…君に似た、女の子だったように思う。」 「女の…こ…」 私は病室の入り口付近で、静かに控えている「彼女」を見た。 そんな、まさか……いや、しかしあれは私の夢で……。 「僕は女の子に助けられてばかりだね。炎の中の少女と言い、竹刀の少女と言い。」 そう言って、終司さんはくすくすと笑った。 「……。」 霞んで見えた、病室と終司さんが…とても温かくて。 私は静かに口を開いた。 「終司さん……。」 「…何だい?」 「ありがとう…」 私は精いっぱいの笑顔でそう言った。 「…どうしたんだい、急に。」 終司さんは照れ臭そうにほほ笑んだ。 傍にいてくれて、生きていてくれて、そこに居てくれて、ありがとう。 (2話 FIN) [←*][#→] [戻る] |