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GIRLs@研究所
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ボーッとする意識の中で、彼女たちが去って行くのが分かりました。

私は震える足を折り曲げ、地に座り込みました。


目の前にあるのは、ボロボロになったお祖母様の絵本…。



どうして…?

どうして……いつもいつもいつも…。
私はこうなのでしょうか?


言いたいことが言えない…
守りたいものが守れない…

そう、だから……私はあの家で暮らすことができない……。

弱いから……!!




「……りた……い」

こんな私…、大嫌いです…。


「強く……なりた……い」

言葉とは逆に、涙ばかりが溢れてきて、抱きしめた絵本を濡らしました。


私だって…、
大切なものを守れるくらい…、



強くなりたい…



私だって強くなって……誰かに慕われるような…、伽衣さんみたいな……そんな人になりたいのに……!!


「私だって……強く……なりたい…っ!!」


ビュオー…

「……Σ!?」
なんて強い風……。

私は目をギュッと瞑りました。

ふと、頬に何かが触れたので、私はそっと目を開けました。


花びら…?


目の前には、無数の花びらがハラハラと、散っていました…。

桜の花弁……。

私は振り向き、あの桜の木を見ました…。


「そんな……まさか…」

桜は見事に満開の花を咲かせていました……。

もう4月も中旬を過ぎたと言うのに…。


信じられません……こんな事が…?

ビュオォー!!

「…っ!!」
二度目の強い風に、私は再び目を瞑りました…。


そして、前方に何かの気配を感じ、ゆっくりと前を見ました…。


無数の花びらが散る先に見えたのは、私より幼い…可愛らしい姿をした少女でした…。

「みぃー」

「え……?」

「なれるよ、きっと…」

「………?」

「強く、なれる…!!」

少女の眩しい笑顔に、何故だかまた、涙が零れ落ちました。


★★★★★★★


「桜ちゃん!!」

桜ちゃんの姿を見つけ、私は急いで駆け寄った。

「やっぱりここにいたんだね…!!………えっ……?」


近付くたびに、はっきりと見えてくる……あの物体はなんだ…?


嫌な予感が、私の胸の奥に一つ…。



「ぁ、伽衣さん……!!」


「…桜ちゃん、大…丈夫?」
桜ちゃんの髪はいやに短くなっていた。



「切られたの……!?」

「は、はい…」

「酷い……」

「…私は…大丈夫です…。」

そんな……。
地面には三つ編みの束が二つ。と、眼鏡が落ちていた。


私は悲しそうに笑う桜ちゃんを見て、怒りを覚えた。

「許せない……こんなことまで普通やる!?」

「か、伽衣さん落ち着いてください…!!もう…いいんです。………いいんです…」

私は桜ちゃんが抱え込んでる本に目がいった…。

私は桜ちゃんの前に座り込んだ。
「桜ちゃん……その絵本…」

「これは……あの人たちに………」

「最低だ……やっぱり私…!!」

「大丈夫です……大丈夫なんです、本当に…。」
「でもっ!!」

「ありがとうございます…。こんな私の為に…此所まで来てくださって……。こんな私の事を……考えてくださって……ありがとう…ございま……」

ギュッ

「か、伽衣さん…!?」

私は思わず桜ちゃんを抱きしめた。

「桜ちゃん……よく頑張ったね…。怖かったでしょ……、一人で……こんな…」

桜ちゃんは弱々しく首を振った。


「この本は、私の…宝物です…。どんなに汚れても、ずっと……!!」




★★★★★


しばらくして、桜ちゃんも落ち着いた頃、私は改めて、桜ちゃんの横で、髪を弄る少女を見た…。

「で、桜ちゃん…、この派手な服の子は?」

「あ…、この子は『ミイ』です。実るの『実』に、伽衣さんの『衣』の字をいただきました…。すみません…、勝手に…。」

「いや、別にいいんだけど…。」
そこ本題じゃないしね。


やっぱ、GIRLs……だよね!?
服装とかからしても……そうっぽいし……。


「実衣ちゃんは、突然現れたのですが…、名前を付けて欲しいとのことでしたので……。でも、私もよく分らないのです……。ね、実衣ちゃん?」

「うん!!」

た、タメ口タイプなのか;;

……でも、よく分らないと言う事は、笹原さんはまだ来てないみたい…。

室内だとえらい早いくせに、野外だと遅いのはなぜ…?


「桜ちゃん…、あのね…」
「伽〜衣ちゃ〜〜んっ!!」

この声は……;;

「笹原さん…;;」
笹原さんがスキップでやって来た。

「まぁたまたま伽衣ちゃんと会っちゃったわね〜★いつ以来かしらっ?」

………。

あの、ルンルンのところ悪いですけど、一昨日です。

「えっとぉ、今回の所有者はアナタねっ!!私は笹原モモコよ♪お手柔らかに〜」
何をだ…;

そういって笹原さんは、いつもの様に名刺を渡した。もちろん桜ちゃんに。

「あ、私は…神沢桜と申します……。あの、笹原様……は、伽衣さんとお知り合いなのですか…?」

桜ちゃんはかなり驚いた表情で笹原さんを見ている。
まぁ、当たり前だけどね…。

今日のスーツは、赤と青で統一してますね。しかも超派手。

「あ?えぇま−ね★」

こんな人と知り合いじゃありません。

って言いたい……。

「笹原さんはね、GIRLs研究所っていう、奇怪な美少女ロボット製造工場から来てんのよ。」

「ははは……そんなに怪しいところで働いてないわよぉ…;。伽衣ちゃんてば私にちょっと冷たいのよね…。」

「そんなことないですよ」

「なんでそんな棒読みなのよぉ;;まぁ…GIRLsについては今から説明するとして…、場所を変えない?長くなるから外じゃねぇ……」

Σこ、こいつ!!さり気なく人ん家に上がり込む気だ!!汗

「え、あの…説明…とは?」

「あ−…;、笹原さんはね、GIRLsについて説明しに来たのよ…、その…、実衣ちゃんについて」

「実衣さんについて…」

「そうよ★」

「……そういうことでしたら、我が家へお越しください…凄く狭いのですが…よろしいでしょうか。」

あぁやっぱり…こういう展開に…!!

「えぇ、気にしないわよん。助かるわぁ♪…伽衣ちゃんは?」

「あ、私はもう帰ります…。古都も琉古も、待ってると思うんで…。それじゃね、桜ちゃん…。」

桜ちゃんを笹原さんに預けるのは心配だけど……;

私は、二人に背を向けて歩き出した。



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