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GIRLs@研究所
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……放課後……

「失礼しまーす」


私が会議室に入ると、由香里さんが近付いて来た。

「伽衣さんごきげんよう。光さん、ちゃんと伝えてくださったのね、良かったわ。」
「うん…昼休みにね。」

光は既に席に座って本を読んでいる。
私に気がつくとにこにこしながら由香里さんと私を見比べた。

………なんか気に障るのよアイツは。

「今日話し合うのは、体育祭の競技種目についてだけれど…、伽衣さんは運動能力にも優れていらっしゃるから、どんな競技もきっと一位ですわね…」

由香里さんは惚れ惚れした感じで私を見ている…。
う〜ん、嫌味ではなさそうだけども。


てか、前から思ってたけど、由香里さんってなんで私にはこんなにフレンドリーなんだろ…?
みんなに《氷姫》とまで言わしめる人なのに…。
も、も、もしかして気に入られてる…?


いや、そんな、まさか……ねぇ?

「そ、そんなことないって!!あ、そ、それよりさ、席につこ?もぅみんな集まったみたいだし、会議始めよ!!」

私は焦り気味に席に着いた…。



〜40分後〜

会議は終了。
私は帰る支度をして、会議室をでようとした。

「あ、あなたたちは一体……今までの時間、何をなさっていたの!?」

由香里さんのヒステリックな声に、会議室全員の視線が2年生たちに集まった。

「す、すみません…。ま、まだ……総委員長が、来ていないんです……」

「資料は、神沢さんが全部もってるので……」

「神沢さんが来るまで待とうと思ったのですが……まさかここまで遅いなんて…。」


2年生たちは怯えながら、必死で由香里さんに弁明している。


「桜ちゃんが…、どうかしたの?」

「まぁ伽衣さん……」

「あの……会議にまだ来てないんです。」
「今日の会議の事、知ってたの?」
「はい…、皆に伝えたのは、神沢さんですから…」

「神沢さんは、遅刻なんてするような方じゃないのに…」



おかしいなぁ…どうしたんだろう……?

確かに桜ちゃんはそんな子じゃないし…。

また桜の木に見とれてるのかな…。




………………!!


「仕方ないですわね…。ひとまず、神沢さん無しで話し合える議題は話し合いなさい…。」

「は、はい……」
「由香里さん…私、桜ちゃんを探しに行って来る!!」
私は鞄を置いて、会議室を飛び出す。
「ちょ、伽衣さん!?」



もしかして桜ちゃん……昨日の連中に絡まれてるのかもしれない…!!

急がなきゃ…!!



★★★★★


「あっ…」

私はとうとう逃げられなくなってしまいました…。

いつも速くは動かない足ですが、今日は一段と動きが鈍く感じます。

「チッ、逃げてんじゃねぇよ!!ハァ…ハァ…。お前…調子ん乗ってんなよっ!!」

ガッ!!

「キャッ!!」

私は突き飛ばされ、後ろにあった何かに当たりました。


あの桜の木……。
この木に、こんな恥ずかしいところを見られてしまうなんて……。


「ハァ…。お前みたいのはな、ちょっと痛いめみないとわかんねえんだよなぁ??静原の孫だからって…」

「や、やめてください…!!」

髪を引っ張られ、私は必死で抵抗しましたが、他の二人の方に体を押さえ付けられていて、必死の抵抗も効果無しです…。


「おいハサミ」
仲間の方が、ハサミを目の前の人に渡しました。

「………!?」
背に嫌な汗が流れるのが分りました…。

これから起こる事を、体が察知したからでしょうか…?


もし髪を切られたら……?

それがとても怖くて…。


「じっとしてろよ?」

「や、やめてください…!!」


ジョキッジョキッ…

「………!!」

三つ編みのまま、無造作に切られた髪が、地面へそのまま落ちました…。


今まで何度。静原の名で苛められたことでしょう…。

でも私は母様の実家を責めた事なんてありません。
それは母様が私を愛し、お祖父様やお祖母様が私を愛していてくださっているから…。

「……」
気がつけば涙が零れていました…。
ここまでされて、何も出来ない私は、なんて弱いのでしょうか……。


「………?お前、その本いつも持ってんなぁ?」

「こ、これは……」



「おい、その本取れ。」

押さえられた右手から、本が取られるのが分かりました…。

「や、やめてください!!その本は…私の宝物なんですっ」
私は必死でもがきました。

「チッ、じっとしろ!!」

「宝物ねぇ。じゃあコレがどうなるか、分かるよな?」


え…………。


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