優しく(黄猿)
マルコは自分が取っていた安宿のベッドの上で胡座を掻いて座り、ぶすっと剥れながら腕を組んで目の前の男を睨み付けていた。
「ほらほらァ〜、そんなに剥れないの。キミも飲んだ条件でしょう」
そんなマルコの様子を見て、黄猿が笑いながらたしなめる。
たまたま上陸し、買い物をしていたら寄りにもよって海軍大将、黄猿とばったり出くわした。
当然、戦闘を覚悟したマルコであったが黄猿は自分も休憩時間中なのと町中と言う事もあり民間人が沢山いる事もあって、ある条件を飲み込めばマルコを見逃しても良い、と言って来たのである。
その条件とは
「こんなおっさん抱きたいなんて、やっぱり頭のネジがイカれてるとしか思えねェんだがな。本気かよい」
一回、抱かせろ。
男所帯の海賊団だし、若い頃はブイブイ(死語)言わせていたがそれにしたってこの年で、しかも海軍大将に身売りをする事になるとは思ってもいなかった。
これが一番リスクの少ない選択だと割り切ったつもりでも、剥れない方が可笑しい話であろう。
黄猿がコートを脱ぎ、胡座を掻いてるマルコを押し倒して来る。
嫌に、優しい動作で。
「優しく抱くよォ〜?」
「気持ち悪ィ。絶対お断りだよい」
一回、一発きりだ。
マルコは腹を決めて、黄猿の申し出を吐き捨てるように拒絶すると首に片腕を回し抱き寄せた。
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