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ペット*(黄猿)
パァン。
小気味良い音がすると共に、イゾウの体が派手に吹き飛び転がった。


「痛いねェ〜」


ぼやく黄猿。
白ひげ海賊団の隊長だろうと何だろうと縛ってしまえば一人の男だ。
顔がそこらの男より良く、頑丈と言うプラスアルファこそ付くのだが。


「…もう一回やらせてみろ。食いちぎってやる」


吹き飛ばされたイゾウから、憎々しげな返答が返ってくる。
黄猿が彼に強いたのは口淫であった。
しかし、大事なあそこに噛み付かれてしまいこの状況である。


「…次に歯を立てたら、この綺麗な歯、全部抜いちゃうよォ?」


グイッ。
顎を掴まえて、顔を上げさせる。
先程、つい叩いてしまったがなるべくならこの顔は傷付けたくない。
多分、歯なら外見に変化はない。
抜くなら最後になぞりたかったが、今は恐らく噛み付かれると思われる為に断念する。
全く狂犬だ。
そして案の定


「抜きやがれ…!」


と返ってくるのだから、困った物である。


「じゃあ〜、今から白ひげ海賊団の誰かを拐って来て君の変わりにそいつの指を一本ずつ落として行こうかァ。足もあるから十回までは逆らえるよォ〜。良かったねェ」

「…!」


黄猿の提案に、イゾウの顔色が変わる。
冗談ではない。
この男なら本気でやる。
不本意ながら自分を拐ってこうして飼っているように。


「どうする?わっしはどっちでも構わないけどォ〜もう一回やってみるかい?イゾウ」


そして黄猿はその選択肢をわざわざ敢えてイゾウに選ばせた。
返ってくる答えなど分かりきっていながら。

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