脅します(エース)
真っ黒エース。オヤジ最強とリンク
迂闊、だった。
イゾウは銃口をエースに突き付けた後、急に冷静になった。
「イゾウはさ〜…オヤジが好きなんだろ?抱かれたいとか思ったりしてんのか?」
十六番隊の自分しか居なかった倉庫にやって来るなり、末っ子の二番隊隊長からいきなり切り出された質問。
これに思わず銃口さえ突き付けなければ
「何言ってやがる」
で済ませられただろう。
エースはそんなイゾウの葛藤する様子に図星か、と壁に腕を組んで凭れては悪戯が成功した子供見たいに笑った。
「だったらどうだってんだ、黙れ。撃つぞ」
「どーぞ?」
「…」
仲間殺しはご法度だがイゾウはその喧嘩っぱやさから屡々引き金を引く事がある。
とは言ってもあくまでも威嚇射撃程度に。
腕前は絶対でありまず当たらないと分かっていても隊員らは怯えるが、そこは流石ロギア。
実に堂々とした物だ。
「オヤジはあんたを絶対抱かねェよ」
ズキュン、一発の弾丸がエースの顔横すれすれに撃ち込まれる。
当たっても平気なのに当てない辺りがイゾウなりの優しさであろう。
エースは気にせず“オヤジの息子への愛は平等だもんな”と更なる追い討ちを掛ける。
(分かってんだよ、そんな事ァ…!!)
もう一発、撃とうとした所でエースが居なくなっている事に気が付いた。
「だからさ」
はっ、と気が付いた時には間合いより更に内側。
目の前に現れられて銃を持つ手首を掴まれる。
常ならここまでの接近を仲間にとは言え許しはしない。
怒りがイゾウの反射神経をも鈍らせたらしい。
「おれにしとけって」
にっ、エースは強気に笑っては脈絡の無い口説き文句を目の前のキスくらい出来そうな距離のイゾウに送った。
自分の抱いた正直な恋愛感情とオヤジにばらされたくなければ、と言う何とも海賊らしい少しの脅しを練り混ぜて。
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