プレゼントは(ドフラ)
誕生日おめでとう。
幾ら停船しているとは言え、白ひげ海賊団の船に堂々とそんな事を言いながら自室のドアを蹴破らん勢いに乗り込んで来た海賊ドンキホーテ・ドフラミンゴにマルコは頭痛を覚えた。
いや、確かに自分らは恋人同士ではある。
ある、が一応内密な交際なのだ。
誰かに見付かれば騒ぎになるような行動は控えて貰いたい。
切実に。
「…ありがとよい」
が、それをこの男に訴えて見た所で無駄だと悟っているマルコは素直に差し出された薔薇の花束と両腕でギリギリ抱えられるくらいの山盛りの宝石を受け取った。
今日は10月23日。
とっくに過ぎてるけどな、と言うツッコミは飲み込んで。
それらをベッドに置いた所でまだ帰ろうとしないドフラミンゴに気付く。
「所で」
マルコがどうした、と聞こうとする前に先に切り出された。
「今日はおれの誕生日何だが、勿論プレゼントは用意してあるんだろう?マルコ」
「はあぁ!?」
部屋に、マルコの間の抜けた声が響き渡る。
当然だ、今初めて知ったのだから。
そもそもそんな事、この目の前の男が一番知っている筈ではないか。
「フッフッフ。ああ、聞くまでも無かったな」
今から街に降りて買ってくる、部屋から何かプレゼントっぽい物を探してみる、ああでもないこうでもないと色々な思考を張り巡らせていたマルコであったが、ぐいっ、不意に顎に指を置かれて顔を上向かされた。
ああ、もう、嫌な予感しかしない。
「裸にリボンを巻いてくれてりゃ完璧だったが、大事なのは中身だ。贅沢は言わねェさ」
外れてくれと願ったのも虚しく、的中してしまった予感にマルコはドフラミンゴが部屋に押し入って来た時同様の頭痛を覚えたのであった。
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