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お誕生日(サンロ)
※サンジ初出し
※この二人も左右どっちでも美味しいよね(モグモグ


ばしん。
沈んでいた意識が浮上するや否や、ローは額に置かれていた誰かの手を反射的に振り払って半身を起こした。


「…っ。大丈夫かロー。随分うなされてたぜ?」


いつの間にかアクアリウムのソファで眠っていたらしい。
同盟相手の麦わらの一味の一人、サンジが手を叩かれた事を気にした様子もなく心配そうに眉を潜ませ声を掛けてくる。


「…は、ァ。は…」


夢を、見ていた。
自分の主であったドフラミンゴに毎日口淫を強いられていたあの頃の。
そして十一歳の誕生日に起こった詳細な絶望の。
ローはその後子供ながらに緻密な計画を立て、あれほど入るのを熱望していたドンキホーテファミリーを命からがら這う這うに逃げ出した。
そう、逃げ出したのだ。


「ロー?」

「大丈夫、だ」

「いや、大丈夫ってお前汗だくじゃ…」

「大丈夫だって言ってんだろ!おれは医者だ!自分の体調は自分が一番分かる!」


思わず声を荒げてしまい、ハッとする。
サンジはそうか…、とだけ答えると立ち上がりアクアリウムバーを出て行ってしまった。
夢見が悪かっただけなのに、あれはもう昔の事なのに、何の関係もないサンジに当たり散らしてしまった事に額に手を当ててうなだれるロー。
とん、とん。
それから少しして壁を叩くノック音が響き、ローはうなだれさせていた顔を持ち上げた。


「ほら、昼飯の残りで悪いがスープだ。クソうめェからこいつを腹に入れてもう少し休んどけ」


出て行ったとばかり思っていたサンジがスープ皿を片手に持ち、ソファ側まで再びやって来ては片膝を付き、わざわざ暖め直して来たらしいスープを差し出して来る。


「黒足、屋…。さっきは…」

「いいって、気にすんな。お前、本当に顔色悪いぜ?体調が良くならねェようならチョッパーを呼んで来るからよ」

「…」

「ああ、お前も医者だったか?」


見えねーけどな、とくわえ煙草にサンジが笑う。


「…、お前もコックには見えねェがな」


スープ皿を受け取ると、まだ少しぎこちはなかったがローも何時もの調子に返して見せる。
暖かいスープを早速一口、スプーンで口に含むと昼間に飲んだ味とはまた少し違っていた。
甘めな味に変えておいた、と自分一人の為に手間暇掛けたらしい彼の心遣いに思わず口元が綻ぶ。
不思議と。
このスープを飲んで寝直したら、今度は良い夢が見れそうな気がした。

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あきゅろす。
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