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噂の隊長(ドフラ)
ドレスローザに滞在したければ十六番隊隊長をその間、城に寄越せ。
ドフラミンゴは港に到着した白ひげ海賊団の残党を出迎えては停船交渉にそんな変わった条件を一つ、提示した。
金でも悪魔の実でもなく、一人の男を欲したのである。
甲板でざわめく隊長達。


「…ドフラミンゴを知ってるのかよい、イゾウ」

「…いんや?お前らと同じくらいの記憶しかねェ筈だ」


マルコの確認に、イゾウは煙管を噴かしながら確かに戦場であのドピンクコートは悪目立ちしていたが、それでも自分がわざわざ指名をされるような覚えはなくゆるゆる首を振る。
その間もドフラミンゴの護衛として付いてきたトレーボルやディアマンテが早く決めろとか急き立てて来る。


「…ま、城にのんびりお泊まりするだけだ。何も問題はねェだろ」


イゾウは煙管の火種を携帯灰皿に落として消し、船の縁に足を掛けた。
ドフラミンゴの要求を飲むつもりに。
正確には飲むしかない。
食料や燃料も殆ど尽き掛けているのだから。


「 フッフッフ。お前がイゾウか」


港に降り立ったイゾウと対面したドフラミンゴの口振りは、やはりお互いに全く知らない感じの物であった。


「頂上決戦以降、お前は特に裏で有名人だぜ?中々に綺麗な野郎が白ひげ海賊団に居るってな」


なるほどな。
イゾウは小さくため息を吐く。
つまりはただの好奇心であったのだろう。
しかし、ならば顔を見るだけでも構わない筈だ。
イゾウの心中の疑問に答えるかのような絶妙なタイミングに、ドフラミンゴは彼の顎を持ち顔を上向かせる。
そして次の瞬間


「噂以上の面構えだ。気に入った。お前らは一ヶ月は滞在すんだろ?毎日、可愛がってやるよフッフッフ」


イゾウに、自分を指名した真の正解悟らせると共に物理的にも体力的にも無理だろと即座に突っ込ませる台詞を投げ掛けて来たのである。
或いはと


(突っ込ませてくれんなら何とか勃たせさえすりゃ、感覚は女とそんなに変わんねェんだし…)


妙に冷静にイゾウは顔に似合わぬ品の無い事を考えていたのだが、この男にそちらの気が毛頭無い事は頬に這った舌とサングラス越しのぎらついた獣見たいな瞳がはっきり教えてくれていた。

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