2 ラッキー……?
「〜♪〜♪〜♪」
正直今の私はノリノリだ。(ああ、またかすがにうるさいって言われちゃうな!でもいいもんねノリノリだから!!)
私が伊達君の席の隣になって早2日。
世界の終わりはもうすぐそこだ!のレベルまで落ちていた私の繊細なテンションも、いい事ずくめな毎日のおかげですっかり回復していた。
むしろ前より高くてウザいと、かすがからも大絶賛を浴びている(ん?絶賛かな?まぁいいや幸せだからっ☆)
前から欲しかったローファーは大好きなショップで半額で買えたし。
お父さんに靴買うって言ったらお小遣いって一万円も貰えちゃったし。
苦手な数学の宿題一人で全部解けたし。
お弁当の中身が二日連続大好きなオムライスだったし。
いつも吠えられる犬に何故か懐かれちゃったし。
ななななんと当たりつきアイスが五回連続して当たっちゃったし!!
(私、やばいんじゃないの!?幸運の女神ついてるかも!ラッキー織だ!!)
最近ではあまりにもラッキーなので、あんなに恐れていた伊達君が私の幸運の神様(?)だったのでは無いかと思い始めている。
だ、だってさ、本当に伊達君の隣になった途端ラッキーになったんだもん…!隣でも別に不便なんて無いし、むしろ感謝しているくらいだった。
伊達君の席の近くは、人があんまり寄り付かないから、とってものんびり過ごせるのだ。
かすがが当初言っていた通り、伊達君は授業には全く参加していない。
毎朝来る子分の人達も、見ないフリをしていたら別に何でも無いし、そしてなにより伊達君の席から見る景色は最高なんだ。
校庭で頑張って部活してる人とか、元気に緑を生い茂らす樹木とか、この時間なら夕日が水平線の彼方に沈むところがばっちり見れるし、もうちょっとしたら星空だって拝める。
ああ、本当になんて素敵なんだろう!!
私は夢のようで、窓から身を乗り出しながら本日三本目のアイスを食していた。うちの高校の校歌をハミングしながら。
「ふんふふんふっふっふ〜♪」
「……随分と楽しそうじゃねぇか?」
背後から突然声を掛けられて、私は驚きのあまりアイスを窓の外に落としてしまった。(いやその前にハミング聴かれてたの恥ずかしいんだけど!どうする私!)
「あ、いや、今のは音楽のテストの練習で……」
全然本音っぽくない言い訳を口にしながら(ていうかテストでどうしてハミングだっていうツッコミがきそうで恐ろしい…!!)振り返って、思わず硬直してしまった。
私の目の前に立っていたのは、私のもたれている窓際のすぐ傍の席の持ち主、伊達、政宗君、だった。
(グッバイお父さんお母さん!織はお空の星になるよ☆ミ)
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