1 となりの席は伊達君
「……かすが、私もう、死んだ」
「…織、気持ちは分かるが、開口一番死んだはどうかと思うぞ」
「いや死んだぐらい言いたくなるよ!チクショー明日から学校来ないぞバカー!!」
「……じゃあ来るな(うっさい)」
「う、うわああかすが!!見捨てないでー!!」
私が半泣きになりながらかすがにすがりついた。
そしたら、かすがはその綺麗な顔をとても面倒くさそうに歪めて一言。
「諦めろ」
と言った。(つ、つめた…!!ゆ、友情ってなんだろう!!)
ちらりと隣を見やれば、あの、席。
窓際の一番後ろ、メールし放題お菓子食べ放題、な、伊達政宗君のお席。
毎月一度は必ず席替えがあるのに、一番良い席だという理由で彼の固定になっている最高の席。
毎朝怖いお顔の、きっと彼の子分(ぱしり?)の方々が磨きに来るせい(おかげ?)で、机と椅子は不自然な程ピカピカだ。私やその他のクラスのみんなのとは、比べ物にならないくらいに。
てか椅子拭いてる人の中に、明らかに去年3年だった先輩が混じってた気がするんだけど…!
伊達、君?は、社会人まで子分にしているのだろうか。と考えたら本気で恐ろしくて、私は思わず頭を抱える。しかも、うあああああと唸っていたらかすがにうるさいと言われた。(友情ってなn)
「織、普通に大丈夫だ。そんなに深く考えるんじゃない」
「……で、でも、怖いじゃん!すっげ怖いじゃん!」
「あと一月の辛抱だろう?すぐにまた席替えがある」
「…そう?」
「それに実際、ヤツが学校に来る事などほとんど無いしな」
「あ、それは、確かに」
「隣と言っても、机をくっつけなければならない訳ではないだろう。こんなに距離があるじゃないか」
「う、うん」
「子分の奴らが来た時は、私の席の近くに居たらいい」
「……そう、だよ、ね?」
「そうだ。それにほら、お前のなりたがっていた一番後ろだぞ。目立つ席じゃないからメールくらいは打てるだろうし、窓にだって近い。景色だって見れる。ある意味最高だろう?」
かすがが私を見て微笑む。微笑みが輝いてるよかすが。
(…確かに、最高、かも)
後ろになりたかったし、メールも打てそうだし、この席からだって綺麗な空とか見れるし、恐怖の伊達君はほとんど学校出てこないし……!!(キラキラキラ)
「……最っ高!!さすがかすが!!」
「だろう?私はお前が羨ましい、織」
「えへへー本当!?ありがとー!!」
「(これでやっと静かになる)感謝されるほどじゃない」
「あー明日も学校楽しみだなぁ!!」
夕焼けの空に背伸びして高らかに宣言する私の声を、かすがは既に昨日発売されたばかりの雑誌に夢中で聞いてくれなかった。(……)
でも、いいもんね!!きっと明日も、今までと同じ、平穏な日々を過ごす事が出来 るよ ?
これがただの嵐の前の静けさ(別に静かじゃないけど)だったと知ったら、昨日の私は絶望するだろうか。
……多分、する。(んで、学校行かねーよバカ!って叫ぶと思う)
平穏な日々というのは、恐ろしい程簡単に崩壊する、のだ。
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